夕闇に

 夕闇が

 背中を撫でてくる

 脊髄を伝う

 指先の艶かしい感触

 どうしたことか

 黄昏に包まれた並木道は

 わたしの孤独のために造られたかのようだ

 人影も人声もぱったりと途絶えて

 遠くから

 サイレンの音が聞こえる

 夕闇が

 足下から這い上ってくる

 腿を触り

 腰をまさぐり

 胸をかすめて

 わたしのほほをつつく

 夕闇の指先の爪の感触

 遠くから

 サイレンの音が聞こえる

 夕闇の愛撫には

 仄暗い殺意がこもっている

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