一人暮らしのアキレス
信じられないことに
自分の家のなかで迷子になってしまった
宮殿でも屋敷でもない
ひっそりとした六畳一間で
ぼくは迷子になってしまった
ベランダに通じる奥の窓
その向いに歩いていけば
扉までは一直線だ
ところがいつまで歩いても
扉は姿を現さず
部屋が際限なく伸びていく
コンビニ弁当の残骸
あちこちに散らばった学術書
寝心地の悪そうな万年床
なじみのわびしい風景が
樹海のように広がってゆく
歩けども歩けども
弁当・学術書・万年床の繰り返し
アキレスと亀の話を思い出す
あのパラドックスは
どこに誤りがあるんだっけ
二日酔いの頭脳で早く思い出さないと
いつまで経ってもぼくは
このわびしい一人住まいのアキレスは
あたたかい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます