暗闇に恋が

 枝垂しだれてうつむいた恋心こいごころ

 花びらのようにささやかな恋心

 夕闇が

 賢い蛇のようにしのびよる


 恋心に夜がやってきた

 くらくらい焼け野原

 目路のはるかまで広がって

 ここからはどこへも帰れそうにない


 橋を焼いたのはぼくだ

 つながりを断ち切ったのもぼくだ

 彼女の住まううろへと通ずる

 曲がりくねった道を閉ざしたのもぼくだ


 あかつきはまだ来ない

 恋心がよろこび歌う

 柔らかな暁闇ぎょうあんはまだやって来ない

 野原はもう焼け死んでいるというのに

 虫の息でも

 恋はまだ生きている

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