第449話瞳の不安 華音の母圭子の考え 華音は警察庁道場へ

「何で!何で華音君なの?」

「嫌だよ!華音君はまだ15歳の高校生なんだよ?」

「どうして?そんな危険な仕事をしなければならないの?」

「嫌だよ、嫌!」

瞳は、動揺して、錯乱状態。

顔は、涙でグシャグシャになっている。


瞳の思いは、シルビア、春香、エレーナ、母好子も同じ。

シルビア

「これだけは柳生霧冬の爺さんも潮崎師匠も、柳生事務所もやり過ぎと思う」

春香

「おそらく政府にも内諾を得てあると思うけど、政府も政府だよ、華音だけは許可しなければいいのに」

エレーナ

「そこまでに、相手が凶悪で、それに対して華音君が強いってことを、政府は把握しているからとは思うけれど・・・他に方法がないのかな」

好子は、厳しい顔。

「エレーナさんの言う通りと思うよ」

とまでは言うけれど、やはりこの中では大人。

さっとスマホを取り出し、タップする。


隣に座っている瞳が、母好子のスマホを盗み見。

「慶子さん?華音君のお母さんだ」

好子は、その瞳を、「うるさい」と手で制し席を立った。

そして、少し離れて小声で「華音ちゃんのこと」と話し始めている。


「止めてくれるのかな」

シルビア

「うーん・・・華音は何も連絡しないから、まずは驚くかも」

春香

「どうやろなあ・・・」

エレーナ

「好子さん、難しい顔・・・」


しばらく電話を続けていた好子が、顔を赤くして戻って来た。

「華音君は、何の連絡もしていない」

「霧冬さんと政府から連絡があったみたい」

「でも、慶子さんも慶子さん、呆れる」

「日本が危ない時に、華音が貢献するのは当たり前とか」

「そんな程度で死ぬんだったら、霧冬先生の指導でとっくに死んでいるとか」

「・・・もう覚悟は決めているみたい」

「後は、どんな結果になっても、対処するだけとか」



華音を囲む女性たちが、難しい話をする中、華音は帰宅後、再び外出することになった。

その行き先は、警察庁の道場。

その華音を電話で呼び出したのは、柳生霧冬。

「まだ華音の実戦を見とらん連中が、実力を疑っとる」

「華音も東京に出てきて、しばらく実戦もしとらん」

「たまには、しておいたほうがええやろ」


華音も霧冬師匠に指示されては仕方がなかった。

また、電話を終えた直後、警視庁お迎えの車が華音の屋敷に到着。

その車の中には、潮崎師匠も柳生隆も乗っている。


車に乗り込むと、潮崎師匠。

「思いっきりぶっとばしてかまわん」

「格闘者は、実力を見せつけないと、納得せんから」

柳生隆

「面白いな、華音の本気を見られるなんて」

「俺も、手合わせしてもらいたいけれど、怪我したくないし」


華音は、少し面倒な顔。

「思いっきりって言っても、怪我はさせられないんでしょ?」

「かえって、手加減なしのほうが、僕には楽です」

「その意味で、熊とか猿のほうが思いっきり倒せる」

「人間は、面倒、神経を使う」

「怪我させてもいいテロリストのほうが、思いっきりできる」


潮崎師匠と柳生隆は、顔を見合わせて、ため息をついている。

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