第444話超強力な国際テロ集団が日本を襲う 「日本」終焉の危機

華音たちは柳生事務所に到着した。

エレベーターで最上階にのぼると、いつもより厳しい顔の柳生隆が待ち構えている。

柳生隆

「ことは急を要する、すぐに会議」

柳生霧冬も、今西圭子も頷き、早速会議室に入った。

会議室には、柳生事務所の全スタッフの他に、シルビア、春香、エレーナが着席済み。

また、見慣れぬ紳士が二人着席している。

松田明美が華音を手招きして、隣に座らせた。

「あの紳士二人は、公安庁と防衛相の、それぞれ次官」

華音は頷いて、会議室を見ると、もうひとりの格闘の潮崎師匠も既に着席している。


「さて、全員が揃ったところで」

柳生事務所所長の柳生清が、会議室を見回して、会議が始まった。

「まだまだ、内密の情報に基づく段階ではあるけれど」

「ここに公安庁と防衛省からも来てもらったということは、相当の確証があり、危険な情報であるということ」


柳生清は、一呼吸、話を続ける。

「相当危険な国際テロ集団が、日本に向かって来ている」

「国際テロ集団なので、どこの国にも属していない」

「幹部クラスの人数で言えば、20人程度ではあるけれど、日本国内にもテロ集団の手先を育てている」

「主にネットを使っての勧誘から始まり、その対象者は警察官、自衛隊にまで浸透しつつある」

「それと、反社会的組織、いわゆる暴力団関係者にも積極的に手を伸ばしている」

「現時点で、日本国内のテロ集団関係者数は未確定、およそ500人から600人程度か」


柳生清に続いて柳生隆が説明を始めた。

「これだけの人を勧誘するための資金源は、デジタル通貨詐欺」

「組織内部に相当に技術が高い者がいる」

「あるいは秘密銀行、地下銀行にある資金を強奪したとも言われている」

「襲われたとしても、元来が秘匿性の高い資金、表沙汰には出来ない資金なので、大げさな報道も秘匿される」

「ただ、その額は、わかっただけで日本円で一兆円を超えている」


国際テロ集団の動きに詳しい潮崎師匠が説明に加わった。

「日本に向かって来る幹部連中は、全員が各国の軍出身の元トップの格闘や戦闘指導教官」

「当然、相当に強いし、戦闘指導力に長けている」

「俺も、数人相手なら、互角」

「しかし、それを越えれば、殺される」


「それから・・・」

潮崎師匠は、一旦、公安庁と防衛省の二人を見て、話を続けた。

「資金力も膨大なことから、威力の高い最新鋭の武器弾薬も問題なく揃えられる」

「一番危険なのは、彼らが細菌兵器、化学兵器に加えて、小型核爆弾の製作技術を持っていること」


黙って話を聴いていた華音が質問。

「ところで、その危険な集団が日本を襲う意図は何なのですか?」


潮崎師匠は、厳しい顔になった。

「日本を襲う理由は、日本が弱いからだ」

「沖縄以外に、外国軍が上陸して侵略された経験に乏しい」

「東京大空襲のような航空機からの爆撃はあったけれど」

「だから本物の市街地戦の経験がない、だから弱い」

「日本を襲えば負けることはない」

「その上、豊富な資金も高い技術もある、従順な多くの国民がいる」

「時の政権を武力攻撃し、支配をするとして、こんなに便利な国はない」


防衛省の次官が、苦し気な顔で口を開いた。

「その組織の警告文一枚で、わが国は大混乱に陥ります」

「自衛隊として、どこまで対応できるか、残念ながら・・・」

「即時に降伏を受け入れるしか・・・この国と国民の生き残る道はないかもしれません」


柳生事務所の最上階では、深刻な話が続けられている。

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