第429話美少女アイドルを救え!(7)

華音は裸を見られたくもなく、お姉さまたちの裸も見たくないので、必死に抵抗を見せる。

まずは、女子レスリングの猛者エレーナと警察庁体術の松田明美による抱きかかえを、スルリと抜けた。

そしてあ然となる二人には目もくれないで、結衣の前に座る。

「ねえ、結衣ちゃん、今後はどうするの?」

「アイドルを続ける?」


結衣は、華音のいきなりの質問に戸惑う。

「うーん・・・一度レッテルを張られると復帰は面倒かも」

「ステージは好きだけどね」

「芸能界も裏があり過ぎて」

「とにかく軽薄で無神経な連中ばかり」


シルビアも難しい顔。

「さっきはマスコミを蹴散らしたけど」

「結衣ちゃんが世間に顔を出すと、また大騒ぎになる」


春香は別の視点。

「ファンの人たちも、落ち着かない」

「ファン同士でイザコザが起きるかも」


エレーナは腕を組む。

「いずれにせよ、当分、ここのお屋敷に避難したら?」

「知り合いの中にいるべき」


結衣は華音の顔を見た。

「華音ちゃんがOKしてくれれば、そうしたい」

「申し訳ないけど」


華音はやさしい顔。

「僕は、大歓迎」

「部屋も余っているし、それは困らない」

「事態が落ち着くまでは、このお屋敷でいいかな」

「それまでに、今後のことを決めたらどう?」


華音たちが、そんな話をしていると、柳生隆と結衣の両親が戻って来た。

柳生隆

「立花管理人が、結衣ちゃんの部屋を準備してくれるらしい」

「それでご両親は柳生事務所の宿舎に当分、泊まる」

「その中で、芸能界の裏情報も提供してもらったり、更なる調査に協力してもらう」


結衣の父良夫は柳生隆に頭を下げる。

「助かったよ、隆君」

「何でも協力する」

柳生隆は笑顔。

「柳生同士、助け合いです」

「それに、やられたままでは済まさない、それが柳生の伝統」


ただ、結衣の母美智子は、まだ不安な顔。

「マスコミが戻って来るだろうし」

「ファンもSNSで、騒いでいるみたいなので」

「また、近所迷惑にならないかなあと思って」


華音も、それを気にしていたらしい。

結衣の母美智子の顔を見た。

「僕がもう一度様子を見て来る」

「無関係な人に迷惑をかけたくない」


松田明美も、仕方ないと思ったのか、立ち上がった。

「じゃあ、一緒に行こう」

「でも、どうするの?」

「見て来るだけ?」


華音は、そこで少し笑う。

「それは、状況次第」

「話ぐらいはするかなあ」


華音と松田明美は、お屋敷を出て、結衣のマンションに向かった。


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