第344話学園文化祭(1)
学園文化祭当日になった。
華音は雨宮瞳だけではなく、シルビア、春香、エレーナを伴っての登校になった。
そして、その登校風景は、学園生徒から、かなりな注目を集めることになる。
「むむ・・・瞳は見慣れているけれど、あのとんでもない美少女三人は誰?」
「瞳もメチャ可愛いタイプだけど・・・」
「金髪外人美少女が二人、スタイルが・・・はぁ・・・」
「もう一人は、完璧京美人、和服が超似合いそう」
「うーむ・・・でも、瞳はともかく、華音君より年上かなあ」
「そうだねえ、ああいうお姉さんが欲しいなあ・・・毎日目の保養になる」
そんな声が聞こえるので、お姉さまたちは華音に小声で口撃。
シルビア
「ほら、みんなそう思うの、今後はそれなりの尊敬を持つように」
春香
「そや、しっかりお姉さま孝行するんやで?でないと毎日正座でお説教する」
エレーナ
「その通り、毎日、マッサージさせてあげる、感謝しなさい」
雨宮瞳は思った。
「このお姉さまたち、メチャきつい」
「華音君と結婚したら、絶対別居する」
ただ、つい「結婚」などという言葉が浮かんだので、顔は真っ赤になっている。
さて、華音は、そんな口撃には動じない。
「マッサージしてもいいけれど、リンパのメチャ痛いのにしようかな」
「泣いてもやめてあげない」
途端に、お姉さまたち三人の表情が変わった。
シルビア
「・・・ごめんなさい・・・それだけは・・・」
春香
「あれは地獄の責めや・・・後は気持ちいいけれど」
エレーナ
「時々サディスト華音になるなあ・・・文句を言うと倍返し?」
さて、そんなどうでもいい話があったけれど、華音たちが文学研究会の部室に入ると部長の長谷川直美が頭を下げた。
「シルビアさん、春香さん、エレーナさん、今日はお手伝いありがとうございます」
「すでに会場はセット完了です」
確かに華音の祖父が大株主だった映画会社と協力した会場となっている。
御簾は、黒板の場所にかかり、華音がスピーチを始めるまでは、下げたまま。
また、源氏物語「若紫」などが書かれた大屏風は正面以外の三面の壁。
和風喫茶にするので、和風の木製黒テーブルと椅子。
そして、どこからか紫の上のお香、「梅花」が薄く漂っている。
花井芳香が興味津々の顔。
「ねえ、華音君、これから直衣姿に?」
すると春香が答えた。
「うちが着替えさせる、京西陣の生まれや」
「ついでに御化粧させても、面白いけどな」
佐藤美紀が面白そうな顔。
「そうかあ、当時の貴族は、みんな顔を白く塗ったり、口紅も塗ったのかな」
「お化粧華音?」
すると華音は、きっぱり。
「しません、そんなの、単に演出効果で直衣を着ただけです」
志田真由美は、そんな華音が面白くて仕方がない。
「なかなか責められる華音君って、可愛い、必死の抵抗をするし」
そんな状態で文学研究会が騒いでいる中、学園長室には今西圭子と松田明美。
今西圭子
「華音君も真面目に原稿を書いていました」
松田明美
「少し読んだけれど、和歌の解説も加えるみたいです」
吉村学園長
「ふむ、それは聴きたいねえ、紫の上かあ・・・その名前だけでもグッと来るものがある」
華音のスピーチへの期待も、だんだんに高まっているようだ。
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