第331話渋谷駅前スクランブルの乱闘(1)

松田明美も立ち上がった。

そして、いきなり華音の腕を引く。

「華音ちゃん、行くよ!下のバイクを使う!」


華音は、他のお姉さまたちに指示。

「シルビアと春香、エレーナ、今西圭子さんは、地下鉄を使ってください!」

「状態監視兼待機組は小久保スタッフと小島スタッフ、情報を流してください」


そして小久保スタッフと小島スタッフの待機組以外は、全て渋谷駅のスクランブル交差点雑踏に向かうことになった。


小久保スタッフは残念な顔。

「ふー・・・仕方ないけど」

小島スタッフも同じ。

「置いてきぼり?気に入らない」


しかし、華音が危険と指さした画面は緊迫を極めている。


小久保スタッフ

「かなりなコスプレなんだけど・・・ヤンキー風集団の対決?・・・両方とも20人ぐらいか」

小島スタッフ

「喧嘩だね・・・でも・・・両方とも目つきが変」

小久保スタッフ

「拡大すると・・・薬物系?」

小島スタッフ

「危険ドラッグかな、それとも大麻とか」

小久保スタッフ

「チェーンを持ち出した」

「げ・・・鎌がついているのもある」

小島スタッフ

「あれは・・・ハンティングナイフ」

「うわ!もう血を流して倒れているのもいる」

小久保スタッフ

「それを寄ってたかって蹴り上げ」

小島スタッフ

「周りの連中は、何も止めない,、大笑いでけしかけている」

小久保スタッフ

「警察は何しているの?」

小島スタッフ

「うーん・・・誰もいない・・・あの喧嘩の周辺には」

「あ・・・いたけど、見ているだけ・・・腰が引けている感じ」

小久保スタッフ

「監視するだけで、トラブル防止や抑止には手が回らないのかな」

「華音ちゃんは、そこまで見たんだね」

小島スタッフは不安。

「戦闘を止めに行くのか・・・」

小島スタッフ

「大丈夫と思うけれど・・・」

「シルビアも春香もエレーナも圭子もいるから、今回は」



さて、華音と松田明美は、渋谷駅前スクランブル交差点に到着、そしてヤンキー集団同士の乱闘が見える位置まで、歩みを進めた。


松田明美が、その近くに立つ警察官に自分の警察庁の身分証明書を提示、声をかけた。

「ねえ!何しているの!乱闘になっているじゃない!」

「見ているだけって、どういうこと?」

しかし、声をかけられた警察官は、首を横に振る。

「無理です!今、入って行っても、火に油を注ぐだけ」

「応援依頼はしてあります、ただ、この雑踏、なかなか到達しないだけです」


華音も何もしない警察官に声をかけた。

「もう、怪我人が出ています」

「傷の場所によっては命にも関わります」

「それでも見ているだけなんですか?」


警察官は、華音にも責められたと思ったのか、いきなり立腹。

「うるせえ!このガキ!すっこんでろ!」

「どうせヤンキー同士の喧嘩だ!怪我しようが何だろうが、自業自得だ!」


華音も松田明美も、その警察官の言葉を最後までは聞かない。

恐ろしいほどの雑踏を、何も障害物がないかのように、スルスルと抜け、乱闘場所に向かって走っていく。

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