第313話貿易会社支店長佐藤との会食

外出していた女性たちも全員がホテルに戻り、祖父の興した貿易会社の支店長との会食となった。

尚、全員がフォーマルなスーツに着替えての会食になる。

そのレストランに向かう廊下では、様々。


シルビア

「華音は、また七五三だ」

春香

「お子様ランチ?」

エレーナ

「うん、実に可愛い、なめたい」

雨宮瞳

「華音君は千歳飴ではありません」

今西圭子

「でもさ、華音ちゃんの施術で、ほんと身体が楽になった」

松田明美

「そうだね、ガキ娘たちには内緒だ、これが大人の女の身体」

少しずつ、年下の女性たちが、今西圭子と雨宮瞳の変化に気づくけれど、問い詰めるまでは至らず、レストランについてしまった。


レストラン支配人が華音に頭を下げる。

「華音君、お祖父さまと来て以来ですね、懐かしいです」

華音もお辞儀。

「はい、こちらこそ、楽しみにしています」


雨宮瞳は、ここでも華音に驚く。

「本当にいろんな人を知っている、底が知れない」


ウェイトレスに案内され、予約席につくと、すでに貿易会社の支店長が待っていた。

貿易会社支店長は佐藤と名乗る。

「華音様、お久しぶりです、本日はようこそ、横浜に」

華音も支店長の佐藤を覚えていた。

「こちらこそです、佐藤さん。懐かしいです」

「東京に来てから、もっと早く佐藤さんとお話したかったのですが、遅れて申し訳ないです」


それ以外の全員が自己紹介の後、席につき、会食が始まった。


支店長佐藤は、にこやか。

「華音様、こちらの生活には慣れましたか?」

「立花管理人から、あちこちで難事件を解決しているとは聞いておりますが」

華音

「いえ、まだまだ田舎者で、家と学園の往復がほとんどです」

「佐藤さんにも、教わりたいことがたくさんあります」


エレーナが支店長佐藤に頭を下げた。

「例の毒物騒動の時は、本当にお世話になりました」

支店長佐藤もエレーナに頭を下げる。

「いえいえ、こちらこそです、世界の大惨事を防ぐことができました」

華音はうれしそうな顔。

「お祖父さんの日記の解読から糸口が見つかりまして、わかってよかったです」

支店長佐藤は、少し真顔。

「本当に、華音様が解読してくれなかったら、数千人から万に至る人が亡くなったと思うのです」

「あのルーマニアの毒薬の威力は凄まじいですし、経済的な損失だけではなくて、多くの人命にも関わる」


華音が恥ずかしそうな顔になると、支店長佐藤は、話題を変えた。

「立花管理人からお聞きしましたけれど、今度、政府の高校生親善大使になられたとか、おめでとうございます」

華音は、また恥ずかしそうな顔。

「それもあって、佐藤さんに助言をいただきたいのです」

「ほとんど奈良の山奥で修業三昧で、外国なんて経験がありません」


支店長佐藤は、にっこり。

「はい、全てわかることは、お教えいたします」

「また、海外に出られた場合は、現地の関連会社が全力でサポートいたします」


華音は安心した顔。

「本当に助かります」

豪勢なフランス料理を食べながら、特に華音と支店長佐藤の会話がスムーズに進む。


女性たちは、ほぼ食べるだけの状態、なかなか会話に口をはさむのが、難しくなっている。

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