第278話全員でお地蔵様を飾る作業を実施、花はビオラ。
秋の気持ちがいい朝の光と風を浴びて、庭でのサンドイッチパーティーは本当に楽しい。
全員が食と話題が弾む中、立花管理人が花の苗のパンフレットを全員に配る。
立花管理人
「何もホームセンターまで出向くこともありません」
「先々代、つまり華音様のお祖父様から造園業も行っておりますので、品質の高い苗が入ります」
「お選びいただければ専門家がお持ちします」
その提案にエレーナが即、賛成。
「はい、そうしましょう」
ただ、その速さの裏には「瞳に華音を独占されたくない」という、競争心がある。
雨宮瞳は、全く動じない。
「どんな状態でも、どんな場所でも、華音君に寄りそうだけ」
「誰が何を言おうと、それが妻の私の役目」
シルビア、春香、今西圭子、松田明美は、そんなエレーナと雨宮瞳の心を読んでしまったようで、肩をすくめるだけ。
華音が口を開いた。
「じゃあ、選ぼうよ、お地蔵さんが喜びそうなお花」
「大切なことは、お地蔵さんのためにという思い」
さて、そんな華音たちが選んだ苗は、「色とりどりのビオラ」。
松田明美
「ふむ、冬も長持ちがする、華やかな感じ」
今西圭子
「半年は咲いているかも、後は色とその配置だけ」
シルビア
「苗だから、すぐに咲く」
春香
「病害虫にも強い、これは便利」
雨宮瞳
「たまには土いじりもいいかなあ、野菜も育ててみたい」
エレーナも、すぐに雨宮瞳に賛成する。
「それはそうね、自分で育てて、収穫する、そういうの好き」
「母国ルーマニアは農業国だもの」
華音は、ホッとして女性たちの和気あいあいの様子を見ていたけれど、すぐに立花管理人と、お地蔵様石像を囲む花壇の設計に入る。
立花管理人
「周囲を赤レンガで囲みましょうか、円形、あるいは四角く」
華音
「お地蔵さんだから、円がいいかなあ」
立花管理人
「温湿度に対応した自動散水設備も可能ですが」
華音
「うーん・・・毎朝、天気を見て水をあげたいな、お地蔵様にご挨拶もあるし」
「自動散水は便利だけど、ナマケモノになる、大した大きさでもないから」
そんな話をしていると、先々代からのお屋敷造園事業部が花壇作成資材、色とりどりのビオラ苗を積んで到着。
華音は、造園事業部と早速、スコップを使い始め、花壇づくり。
雨宮瞳とお姉さまたちは、華音の珍しいスコップ振りに見とれる。
雨宮瞳
「まじ、かっこいい、華音君のスコップさばき」
エレーナ
「力感というのかな、それで無駄が無い」
シルビア
「華音は、こういう仕事にも強い、霧冬先生の指導の賜物」
春香
「畑作業も得意そう、いろいろやらせよう」
松田明美
「そうね、いや、私も何か植えたい」
今西圭子
「華音農園もいいかなあ、一年中新鮮な野菜を食べる」
尚、花壇づくりは、ほどなく完成。
全員でビオラの苗を植え付け、午前中で全ての作業が終了した。
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