第262話梶村雄大捕獲作戦(1)

華音たちが乗ったヘリは、高速近くのゴルフ場の駐車場に着陸。

既に手配が済んでいたのか、ゴルフ場の支配人が大型バイクを2台、頭を下げてキーを柳生隆と井岡スタッフに渡す。


柳生隆は華音に、自分のバイクの後に乗るように指示。

華音が後ろに乗ると、そのまま走り出す。

華音は、その支配人に見覚えがある。

「ねえ、隆さん、あの人も柳生の人?」

柳生隆は、即答。

「ああ、その通り、霧冬祖父さんの弟子さ」


走り出して数分後、井岡スタッフから、華音のヘルメットに、言葉が飛んできた。

どうやらヘルメットに通話装置が施されているらしい。

「鎌倉警察からの連絡です」

「梶村雄大は、周囲の車両数台に軽い接触程度の事故は発生させてはいるけれど、人命に影響のある大事故までは起こしていないとのこと」

「時折ジグザグ、超低速運転をするので、あまり近づいていない」

「今、目の前の高速入り口から35キロ手前を時速80キロ程度で走っているらしい」


その華音のヘルメットに、柳生隆の声もはっきりと聞こえる。

「とにかく、梶村をバイク3台、ここの2台と松田明美のバイクで囲む」

「まず、止めるということ、その後、処置する」


華音は、柳生隆に必死にしがみつきながら、柳生隆と井岡スタッフに相談。

「全ての解決を急ぐために、身体に大きな傷は負わせたくない」


井岡スタッフ

「まずは、バイクを停めさせることまではできる」

柳生隆。

「どんな武器を持っているのかわからないけれど」

松田明美からもヘルメットに、その声が飛んできた。

「華音ちゃん、何か考えがあるの?」


華音は即答する。

「必要な物は、網とロープ、こちらには武器は不要」


柳生隆は、ククッと笑う。

「まるで野獣の捕獲だ、弓が無いだけか」

井岡スタッフも笑う。

「そういえば、猪の捕獲で訓練したことがある」

松田明美は、少し笑いながら、華音に

「うん、わかった!華音ちゃんの言う通りにする」

「5分で追いつく」


そんな相談で、梶村雄大の「捕獲作戦」は決定、すぐさま梶村を追跡してくる、また鎌倉で待ち構える警察にも連絡が完了したようで、柳生隆は華音に言葉をかける。

「警察は驚いていた、ひどくなれば射殺も考えていたようだよ」

「これ以上の大事故を起こさないために」


華音は首を横に振る。

「それはいけません、そんなことをしたら、梶村雄大って人が、楽すぎます」

「簡単に殺されるというのは、実は彼には楽」

「心の苦しみも哀しみも反省も無く、身体が死ぬのだから」


そこまで話が進んだ時点で、柳生隆と華音の乗った大型バイク、井岡スタッフの乗った大型バイクは高速の合流場所に到着。

2分ほど遅れて、松田明美も、同じ場所に到着した。

また、松田明美と同時に鎌倉警察も到着する。


華音は、集まった全員の顔を見る。

「ここで、捕獲しましょう」

「そのほうが関係の無い人に迷惑がかからない」


その華音に鎌倉警察の警官が応じる。

「わかった、道路封鎖の措置をする」

「手前35キロと言っても、ジグザグやら超低速やら行き当たりばったりの走行、ここにに到着するには、もう少し時間がかかる」

「ただ、華音君は、あまり危険な動きをしないように」

「網とロープは我々が対応する」


華音は、その警察官の言葉に、少しつまらなさそうな顔になっている。


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