第245話柳生事務所のお局様にひるむ松田明美と今西圭子
柳生事務所と聞いて、少しひるんだのが松田明美。
「う・・・姉貴がいる、行きたくない」
今西圭子も、ほぼ同じ。
「うーん・・・小島さんが怖い」
その様子に首を傾げるエレーナは、シルビアと春香に、そっと聞く。
「あの、松田明美と今西圭子さんほどの人がひるんでいるんですが」
シルビアと春香は、そのエレーナにコソコソと耳打ち。
シルビア
「松田明美さんのお姉さんが、柳生事務所にいるの、秘密工作のプロでね」
春香
「エレーナは知っているかどうかわからないけれど、吉祥寺で大物政治家とヤクザが絡んだ少女買春組織を暴いたのも彼女」
シルビア
「とにかくキレキレ、松田明美を二倍三倍にした感じ」
春香
「ピシャッと叱るのを何度も見ている」
エレーナは。、「ほー・・・」との顔。
「で、今西圭子さんは?」
シルビアは難しそうな顔。
「小島スタッフって、超美人でスタイルがいい、しかし女性には厳しく男性には甘い女性がいる」
春香
「小島さんはね、今西圭子のダンス、日本舞踊の大先輩でね、指導も厳しかったから、今でも頭があがらない」
エレーナは、ここでも「ほーーー」と答えるのみ。
シルビアが続けた。
「その他は、吉田スタッフは金融法務、小久保スタッフは民法、刑法、情報戦略のプロ、黒田スタッフは税務法務」
春香はため息。
「すごいよ、弁護士資格を全員持っているし、格闘も強い」
エレーナは、思った。
「なんてすごい組織に華音君は、呼ばれるんだろう、しかも一人で」
「でもなあ、今の私がついていっても、話の内容についていけないかも」
「ただ、華音君の隣に座って、最初は笑顔、後はぼんやりかなあ」
「それを変に気づかいされてもなあ」
さて、慎重にお姉さまたちの反応を観察していた華音は、ホッとした。
「どうやら、ゾロゾロとついて来る雰囲気はない」
そう感じると、声にも張りが戻る。
「それでは、夕方には戻る予定です」
「写真でも何でも見ていてもらって結構です」
お姉さまたちが「うーん・・・」とうなっていると、よくしたもので、華音の道中警護をする井岡スタッフが、お迎えのようで門から車で入って来た。
また、柳生事務所のすることには、ぬかりがない。
その車の後部座席には、松田明美の姉の松田スタッフと、今西圭子が怖れをなす小島スタッフが、しっかりと座っている。
その様子を見た華音が、またホッとしていると、松田スタッフと小島スタッフがおりて来た。
松田スタッフは厳しい顔で、松田明美に。
「明美!エレーナさんにしっかりこのお屋敷の説明をしてあげなさい、それから私たちのことも!」
小島スタッフも、今西圭子には厳しい。
「ほら、圭子もさっさと動く、いつまでもノロマの圭子じゃダメ!」
うろたえ、うなだれる松田明美と今西圭子に、華音はチョコンと頭を下げ、スッとお迎えの車の後部座席に乗り込んでしまう。
すると、松田スタッフと小島スタッフも余分な時間は費やさない。
また、すぐに車に戻り、両サイドで華音をゲット完了する。
華音は、そのまま、このお屋敷を出発。
お屋敷には、悔しがるだけのお姉さまたちが残されることになった。
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