第170話野党大物政治家の陥落

野党の大物政治家は、警察官に懸命にヤクザとの関係を否定し続ける。


「こんな指定暴力団の男など見たことも会ったこともない」

「会釈をしたとか、手を振りあったかのように動画では、確かに見える」

「ヤクザ男も、私が倒れたら駆け寄って来たのは事実」

「声をかけられたのも事実」

「だけどな、知らないものは知らない」

「これは偶然が重なって、そう見えるだけだ」

「これは選挙前に私を、そして我が党を貶めようとする、政権の陰謀である」

「そういった陰謀をしかけてくるならば、国会対応も一層厳しするしかない」


ヤクザとの関係を否定し続ける政治家に警察官は、確認する。

「そうなのですか、先生は、あくまでも偶然と言われるのですが・・・」

「ただ、別室で事情を聞いているヤクザの男は、何度も先生には、美少女を様々なホテルで紹介したと申しております」

「証拠もあるそうなんですが」


政治家は、少し顔が青ざめた。

「そんな証拠など、あるはずがない」

「あくまでも、偶然、政権側の陰謀に過ぎない」


しかし、警察官は首を横に振る。

そして、政治家の前に、数枚の印刷された紙。

「あのヤクザ男の携帯の発信履歴と着信履歴のコピーです」

「先生のお名前が、頻繁にありますが・・・」

「先生が、関係を否定するとなれば、同姓同名なのでしょうか」

「最後のヤクザからのメッセージには吉祥寺のこのホテルと時間も、しっかりと書かれていて・・・それが先ほどの転倒なされた時間と直近」

「先生と同じ名前の人からの返信には、了解、期待していると」

「それでも、何かの間違いと?」


政治家は、それでも関係を否定する。

「いや・・・偶然に過ぎない・・・」

「政権側の陰謀・・・」

顔を青くしたり、赤くしたりして否定し続ける。


警察官は自分のスマホを取り出した。

「それでは、このスマホから、この先生の同姓同名の人にコールして見ますか?」

「それではっきりします」


政治家の制止を警察官は、無視した。

警察官のスマホ操作と同時に、政治家に内ポケットのスマホから着信音が響いている。


ガックリと肩を落とす政治家に、警察官がトドメの言葉。

「この情報は、先生の政党幹部も聞きつけています」

「それと、警察庁、官邸も」


膝がガクガクと震えだした政治家に、警察官。

「あのヤクザ男の組事務所にも、一斉捜索が入りました」

「様々な情報が出ると思います」

「マスコミも、相当動き出しています」


この段階で、政治家はテーブルに頭を突っ伏したまま、気を失ってしまった。




さて、別室の中の別室では、松田明美による真奈への聴取も、ほぼ終了。

松田明美が説諭。

「これからは、変なスカウトには、反応しないこと」

「芸能界は派手なようで、危険な人が多い」

「麻薬、ヤクザ、売春、買春がうごめいている」


真奈も、恐怖を肌で感じたので、素直に頷く。

「本当に助かりました」

「シルビアさんたちにも、お礼を言わないと」


真奈が、ホッとした顔になっていると、ドアがノックされた。


松田明美が「お入りに」とドアが開けると、柳生隆に連れられた真奈の両親が立っている。

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