第155話ヤクザを前に華音の目が光る!井岡スタッフの動き
華音の足は速い。
井岡スタッフもシルビアも春香も今西圭子も、全く追いつけない。
井岡スタッフが呆れた。
「柳生隆が言っていたけれど、本気で走らせると野獣の足」
「それが短距離でも長距離でも速い」
「だから学校の体育では、軽く流せと霧冬祖父さんに言われたらしい」
その井岡スタッフも走る速度をあげた。
そうしないと華音が万が一にも戦闘に巻き込まれる可能性がある。
井岡スタッフにシルビアが叫ぶ。
「とにかく華音を止めて!」
春香も、続く。
「手出しだけはさせないで!」
ただ、今西圭子は、何かを感じ取っているようで、難しい顔。
「救急車必要かな・・・」
即座にスマホを操作、柳生隆にメッセージを入れている。
さて、井岡スタッフは、ようやく華音の背中を見出した。
その華音の前には、流血夥しいホームレスの人が三人が横たわっている。
年齢は、三人とも、50代だろうか。
横たわる三人のホームレスのまわりには、7,8人のヤクザ風の男が立っている。
金属バットを持つもの、短刀を持つもの、木刀を持つもの、それぞれが何らかの武器を持っている。
「オイオイオイ!」
「何だ?このガキ?」
ヤクザ風の男が、金切り声をあげた。
「暴行をやめろだと?」
「何を寝ぼけたことを言ってる!」
華音は、静かに口を開く。
「他人に暴力を振るう行動は、暴行です」
「どう見ても、武器を持って、武器を持たない無抵抗の人たちを襲うなど、暴行としか言いようがありません」
「どんな理由があるのかは知りませんが、こんな無慈悲な暴行はやめるべきです」
しかし、そんな言葉で引き下がるような連中ではない。
さらに華音をせせら笑う。
「うるせえ!この小僧!」
「テメエに何の関係がある?」
「こいつらが悪いんだ!」
「ちゃんと貸した金も返さず!」
「ちょっと待てだことの何だのって、言いやがるから」
「きついお仕置き、教育をしてあげているんだ!」
金切り声をあげたヤクザ風の男は、また横たわるホームレスの脇を蹴ろうとするのか、左足を少し後ろに引いた。
すると華音の声が飛ぶ。
「また、暴行を重ねるんですか?」
「その左足、何のために動かすんですか?」
金切り声をあげたヤクザ風の男が、
「うるせえ!この小僧!」
「ゴチャゴチャ言うんじゃねえ!」
と叫んだ瞬間だった。
華音の目がキラリと光った。
途端にヤクザ風の男全員の身体が、硬直。
井岡スタッフが、素早く華音の前に出た。
そして、見事に軽やかなステップを踏み、ヤクザ風の男全員の腕に、手錠をかけている。
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