第146話柳生事務所の華音護衛申出と、華音の面倒そうな顔

「それとね、華音」

柳生隆が、話題を変えた。

華音が隆の顔を見ると、柳生隆。

「これから、不用意なというか、突発的な喧嘩とかは避けてほしい」


華音は、その言葉の意味が不明。

首を傾げている。


柳生隆が理由を説明する。

「もちろん華音のことだから、負けることはないけれど、あまりその力を世間には出したくない」

「だから、腕利きの護衛をつける」


華音は、面倒そうな顔。

「いいよ、そんなの、必要ない」


柳生清が、華音を見た。

「華音君、例の持ってこい詐欺の退治の時から、篠山組と、その上部団体が華音君を狙っているようなんだ」

「つまり、隙あれば、何かをしかける」


柳生隆が、補足する。

「華音君の乗る電車の車両の中で、誰かが、何かの迷惑行為を行うとする」

「対象は華音君ではない一般の乗客かもしれない」

「すると、華音君のことだから、助けようと思うだろう」


華音は頷く。


柳生隆は真顔。

「そこで華音が動き始めた瞬間に、華音を取り囲んで襲うとか」

「刃物を持ってね」


「うっ・・・」と言う顔になった華音に柳生清。

「華音君のことだから、たいていは上手に収めるかもしれないけれど」

「周囲の乗客に全く被害が発生しないとは、言い切れない」


華音は、ようやく意味がわかってきたようだ。

「つまり、そういう輩には、僕ではなくて、柳生事務所が対応するってこと?」

「僕が動くと、名前が新聞とかに出て・・・」

「それでまた、有名になって、つけ狙われる?」


柳生清。

「うん、極道系は、しつこい」

「それに鉄道系の左派組織も絡んでいる」

「某野党の超大物幹部も、現段階では関係を断っていない」


柳生隆が具体的な名前を出した。

「基本的には井岡さんに頼む」

「華音君の通学時と外出時の護衛」

「井岡さん以外は、橋本さん、高田さん」

「誰がつくかは、華音君に事前に言う」


華音は、またしても面倒そうな顔。

「となると、いつも柳生事務所とスケジュールの打合せがあるの?」

「せっかく柳生霧冬先生から離れたのに、全く自由が無い」

「まあ、井岡さんは・・・ボクシングの猛者」

「橋本さんは・・・柔道か」

「高田さんはレスリング」

「また、一緒に練習しようとか、言い出しそう」

「ここの書籍の電子化だけでも、超面倒なのに」


華音がブツブツ言いだすと、シルビアが怒った。

「華音!ぐちゃぐちゃ言わない!」

春香もキツク怒る。

「華音も周囲の人も、無事に守るって、すごく大事なんだよ」

「あとで、大説教する」


ますます嫌そうな顔になる華音に、立花管理人が、耳打ち。

「華音様、PC資料を点検した今西圭子さんが、今夜はこのお屋敷に泊まりたいとのことです」


華音は、深いため息をついている。

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