第143話女性たちの会議(2)それぞれの胸の呪印披露

今西圭子からの申し出により、全員が別室の八畳和室に入った。

中央に、黒褐色の大きな座卓、また座椅子もフカフカで、相当座りやすいもの。


シルビアが説明をする。

「このお部屋は、政府とか財界のトップが入ることもあるんです」

「最近は・・・官房長官と経済産業相かなあ」


萩原美香と瞳がビクッと驚いていると、春香が笑った。

「ご心配は不要です、単なる密談の場所です」

「ホストに立花さんとか、貿易会社の会長、つまり華音の叔父さんがなることもあります」


今西圭子が、話を続けた。

「本当は、華音君のお茶でも出してもらってもいいんだけど」

そこまで言って、少し笑う。


萩原美香は、今西圭子の言葉の裏を読んだ。

「つまり、お互いの胸の呪印に関することかな」

「そうなると、胸を見せ合う?」


瞳は、まだ、その意味がわからない。

「華音君は、珈琲とかお茶とか淹れるのが上手なんだけどなあ」

「ちょっと残念・・・」


シルビアが、今西圭子の話を引き継ぐ。

「今日の作業の後、薬草風呂に入っていただいたのですが」


萩原美香と瞳が、シルビアの顔を見ると、シルビアが言葉を続ける。

「萩原先生の胸には、おそらくオリンポス12神のアテナ女神の呪印」

「瞳ちゃんの胸には、吉祥天の呪印が浮かびあがったと思います」


驚きを隠せない萩原美香と瞳を見て、春香が言葉を続けた。

「あの薬草風呂には、守護神を呼び起こす効能があるんです」

「呪力の強い秘法風呂なんです」

「言うならば、東洋で言えば観音菩薩、世界的に言えば大天使ガブリエルの呪印が、露天風呂の中と天井に刻されているのです」


萩原美香と瞳は、あまりのことに。「はぁ・・・」と驚くばかり。


今西圭子が、ポケットの中から、リモコンを取り出し、操作すると和室の一面に大きなスクリーンがおりて来た。

「それで、大風呂の底には観音菩薩の呪印」

「天井には大天使ガブリエルの呪印」


確かに、湯面の下と、天井には、呪印らしきものが、刻まれている。


「それでね」

笑顔だったシルビアが真顔になった。


「一度、全員で、その呪印を確認しようかと」

春香も真顔。


今西圭子も、真顔。

「ちなみに、私は、アフロディーテ」

そのまま上着を脱ぎ、上半身は裸。

その胸には、アフロディーテの呪印が浮き上がっている。


シルビアも春香も、まったくためらいはない。

上半身が裸となり、自ら説明をする。

シルビア

「私は、日光菩薩の呪印」

春香

「私は、月光菩薩の呪印があります」


こうなると、萩原美香と瞳も、胸の呪印を見せるしかないと考えた。

萩原美香はアテナ女神、瞳は真っ赤な顔になりながら吉祥天の呪印を見せている。


今西圭子は、全員の胸の呪印を見ながら満足そうな顔。

そして、特に萩原美香と瞳に驚くべきことを言う。


「ところで、華音君の胸には、かの薬師如来の呪印」

「お尻には毘沙門天、ヘラクレス、そして観音菩薩の呪印が」


萩原美香と瞳は、まさに目が点になっている。

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