第140話柳生事務所の対策決定

「くノ一作戦」の話題となり、また別の女性スタッフが口を開いた。

ネームプレートには小島とある。

「そう言えば、篠山組の上部団体の面々は、例の国会前のデモで当時の学生政治団体とも深く関係」

「仲が良かった・・・実態は危険なものがあるようですが、その学生政治団体の女子学生数名との関係が噂されています」

「カラオケに誘ったり、そのままホテルとか」

「それも複数回と言うよりは、数十回単位」


柳生隆が少し含み笑い。

「で、その女子学生が、例の野党幹部の超大物代議士にも気に入られていて」

「取り合って揉めたって話も聞いたなあ」

「喧嘩沙汰になって、それも支援者の前で」


小島スタッフも、含み笑い。

「うーん・・・正確に言うと、その政治家先生がフラれたんです」

「女子学生も、多情な子で、二股かけていたみたいだけど」

「とにかく、無理やりカラオケからホテルに連れ込んだ可愛い女の子に嫌いって言われたみたいなんです、あの人の方が好きとか、マスコミにばらすとか」

「何しろ、自己中心的で、それでいてマスコミを異常に気にする」

「ホテルに連れ込んだのはいいけれど、最初に口止め料を払ったとか」


松田スタッフも、その事情は聞いているらしい。

「もともと不倫だよね、それ」

「万が一、マスコミにばれたら、政治生命がない」


別の女性スタッフが口を開いた。

ネームプレートには吉田。

「彼の政治資金報告書には不明な収支が多くみられます」

「一晩のカラオケで百万円単位」

「そもそもカラオケが政治資金に該当するか、それと異常に高額」


また別の女性スタッフが口を開いた。

ネームプレートには小久保とある。

「そもそも、そのカラオケの領収書が本物かどうか」

「実際、私もそこのカラオケに行って、領収書を切ってもらったのですが、全く別の書式、つまり架空なのか、虚偽の領収書なのか」


最後まで発言をしなかった女性スタッフが口を開いた。

ネームプレートには黒田とある。

「政治家用の領収書があるのか、そうなると、どこかに嘘がある」

「政治資金を寄付した面々も、しっかり調べた方がいいと思います」

「会社の経理にしっかり記載されているのか、どうかを含めて」


柳生清が、ククッと笑う。

「そういう話題には、事欠かないねえ・・・彼は」


少し声を低くした。


「そういうのを、マスコミがいろいろ仕入れているから、怖くて政権奪取とか逆に出来ない」

「もちろん、官邸は当然、国会議員の大半の連中がそれを知っている」

「だから、政権をとっても、すぐにつぶれる」

「ますます与党が強くなるのも、どうかと思うけれど」

「そうかと言って、不安を抱えすぎて政権をとっても、またかつての二の舞になるだけ」

「今は野党だから、マスコミがあまり報道しないだけでね、現段階では裏情報」


柳生隆が話をまとめるようだ。


「取りあえず、華音の屋敷の監視カメラなどを使った物理的警護は、高田スタッフ、橋本スタッフに対応をお任せします」

「華音の通学時などの警護は、井岡スタッフにお願いします」

「貴重な書籍は、耐火金庫、部屋の改造などは私が責任を持ちます」

「上部団体と政治家への、くノ一作戦を仕掛けるのは松田スタッフと小島スタッフ」

「それと、政治資金の実態調査については、吉田スタッフ、小久保スタッフ、黒田スタッフ」

「総合管理は、所長の清、サブに私がつきます」


柳生事務所は、全員が賛同し、それぞれの役割分担にて動き始めた。

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