第52話不穏な情報と従姉の華音の評価

「おはようございます!」

「昨日は、ありがとうございました!」

瞳は、華音、シルビア、春香の前に立ち、うれしくて仕方がない。


華音は「おはようございます」とにこにこ。

シルビア、春香も同じように

「瞳ちゃん、おはよう」と挨拶を返す。


瞳は、昨日の母の話を思い出した。

「あの、私の母が、昔・・・」

そこまで話した時だった。


シルビアはにっこり。

「はい、立花管理人は気が付いていたようです、好子さんですね、大好きな人です」

春香は、ふんわりと微笑む。

「素晴らしく作法がしっかりとした女性、いつも感心しておりました」


瞳は思った。

「もしかして、このお姉さま方は、私の知らないことを?」

ただ、急行列車は駅に入ってきてしまったし、当然、乗り込まなければならない。

他の乗客も多いので、とても話を続けられそうにない。


それでも電車に乗り込んだ瞳に、シルビア

「また来てもらえば、話ができます」

春香は、またやさしい微笑み。

「立花さんも、お母様とは懇意のようで喜んでいました」


瞳は、心の中でガッツポーズ。

「よし!これで一歩も二歩もリードだ!」

ただ、ついでに「カモメの水兵さん」の話をしようと思ったけれど、それは中断されてしまった。


突然、瞳のスマホが光ったのである。

「誰?このチャンスに!」

と思ったけれど、スマホを見ると「沢田文美」からのメッセージだった。

しかも、その内容が不明にして、少々不穏。

「空手部女子からの情報」

「空手部の主将の剛が、校門で華音君を待ち構えているらしい」

「それを剣道部の塚本主将がなだめて、またトラブル」


瞳はメッセージを見て、首を傾げた。

「空手部女子も、少し嫌だけど」

「何で、空手部の主将が華音君を待ち構えるの?」

「剣道部の主将がそれを止めようと?」

「うー・・・意味不明・・・」



少し難しい顔になった瞳に、シルビアが声をかけた。

「どうかしたの?瞳ちゃん」

春香も、スッと瞳に身体を寄せた。

瞳は、説明するのも難しかったので、そのままスマホの画面を見せた。

シルビアも春香も、昨日、沢田文美の顔を見ているし、見せても問題がないと思った。


シルビアは笑った。

「瞳ちゃん、気にすることない」

春香は、クスッと笑うだけ。

「まあ、華音が相手に怪我をさせなければいいかな」


シルビアは、華音に聞こえないように、瞳に耳打ち。

「華音は剣道よりは、合気のほうが得意なの」

春香も、瞳に耳打ち。

「華音は空手も強いよ、心配ない」


瞳は、ますます華音が不思議になっている。


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