第50話母好子と華音、シルビア、春香の過去?

雨宮瞳は家に帰り、早速、母好子にスリスリ。


「ねえ、母さん!」

好子は、目を丸くする。

「何よ、突然、子供みたいに」

瞳は、そんなことでは引かない。

「華音君のすっごいお屋敷に行って来た」

素直に白状する。


好子の顔はパッと明るくなった。

「へーーー?すごい!」

「で?一人で?」

何やら意味深な質問。


瞳は、正直。

「沢田さんって二年生の先輩と一緒」


好子は、笑った。

「あら、残念」


瞳は、母の反応がさっぱりわからない。

だから聞くことになる。

「ねえ、母さん、母さんは華音君の何を知っているの?」

「あとでゆっくり教えてくれるって言ったでしょ?」


好子は、また笑う。

「へえ・・・あの杉並のお屋敷に行ったんだ」

「しっかりご挨拶できた?」

なかなか、遠回しにしか答えてこない。

それでも「あの杉並のお屋敷」と「しっかりご挨拶」が、母の口から出て来た。


瞳は思った。

「こうなると、母は詳しく華音君のことを知っている」

「聞かねばならない、そこまで含めて」


その瞳の思いなど、母好子は十分に承知。

少し微笑みながら、話し出した。


「瞳、知っているも何もね」

「私は、華音君のおじいさんの会社に勤めていたの」

「あの杉並のお屋敷にも何度も行った」

「お手伝いをしたこともあるよ」

「母屋の和風のお屋敷」

「洋館、ゲストハウス、蔵全て、入ったことあるよ」


今度は瞳が目を丸くした。

「マジ?母さん・・・」

「何で教えてくれなかったの?」

「あんなお屋敷に入って、マジ、焦ったもの」


好子は、また笑う。

「だからいつも言っているでしょ?」

「そういう礼儀作法とか、テーブルマナーを含めて、覚えていて決して邪魔にならないって」

「茶の湯、生け花だって、あのお屋敷に集まるのは、家元クラス」


そこまで聞いて、瞳は口が「への字」。


母好子は、今度は、瞳をまっすぐに見つめる。

「華音君ね、実は小さな頃を知っているの」

「それから・・・シルビアちゃんと春香ちゃんもね」


瞳が、「え?」という顔になると


母好子は昔を思い出すような顔。

「お屋敷で、かつての会社勤めの同窓会があったの」

「その時に、三人、おじいさんに連れられて入ってきて、紹介されたの」

「・・・可愛かったなあ・・・華音君・・・」


瞳は、「へーーーーっ」という顔になっている。


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