第14話 ~立ちはだかるのは、"声"に宿るモノ~

「にしてもあのジェコってやつはよォ」

 ポメたちが噴水へ向かって進んでいるさ中、フォルは眉をひそめてポメに話しかけた。フォルがこんな顔をする時、だいたいめんどくさい話なのだとポメは知っていた。

「明るいヤツなんだか暗いヤツなんだか、よく分からないナ」

「そうかなぁ。明るいようにしか見えなかったけど」

「そりゃあお前、表面しか見てないだロ。ああいうのはナ、色々と悩みを抱えてるのサ」

「ふーん……そういうもんなんだ」

 ポメの何も考えてないような答えを聞いて、フォルはやれやれとお手上げのポーズを見せた。

 だけどもあのジェコという青年と、もう会うことはないかもしれない。住む場所も違えば、彼は音楽家ですらないのだから。

「そう考えると、コイツみたいに"何も考えない"が一番いいんだろうナ」

 噴水の近くまでくると、ポメは耳を立てながら辺りを見回した。多くの足音と愉快な話し声の中から、トロンボーンの音を探る。

「こんだけ人が多いと、トロンボーンの音も聴こえないんじゃないカ?」

「うーん、でもなんかへんだな……」

 トロンボーンの音は聞こえないけれども、ポメは気になる声を聞きとっていた。それは僅かに届いてくる、怒鳴りつけるような声。

 その声を聞くと、先生がよくデデを叱っていたことを思い出すのだった。

 ポメは声のする方へ行くと、ある場所を中心にして周りに何人かが立ち止まっている。

「いや~な予感が、しないカ?」

 そこは昨日、デデと一緒に演奏をした場所でもあった。言い争う声は、そこから聞こえてくる。大人のヒトと……もう一人は、デデに似た声。

「ちょっと、ごめんなさい!」

 人ごみをかき分けて、ポメは声のする方へ近づいていく。すると噴水の前で、デデと大人のトカゲ人が言い争っていた。

「おいこのガキ、分かってるのか? この噴水前で金を稼ぐ行為は禁止されているんだぞ!」

「なんなんだよおっさん、俺は別に稼いでなんか……」

「じゃあその足元にあるカップが何か、説明してもらうか。ずいぶんと金が入ってるようだなぁ?」

「うっ……」

 トカゲ人は細く長い体をしているものだから、とても背が高い。デデのほぼ真上から鋭い目で、デデを睨みつけていた。しっぽはタンッタンッと一定のリズムで地面を叩きつけている。

 今あの間に入ってはいけない。誰もがそれを察していて、周りの人も、ポメも近づくことが出来なかった。

「ねぇフォル、あの人なんなんだろう……」

「あー、"保安官"ってヤツじゃないカ? あの帽子を見ろヨ、授業で習っただロ?」

 保安官、この国ではそれぞれの町を衛兵が取り締まっているけども、町によっては保安官というものが存在する。それはまだオルゴア王国が全ての領土を統率する前からあった"名残り"で、このノウィザーも昔から保安官というものが今もあったのだった。

「だ、だったらよぉ……そういう大事なことは、昨日のうちに言えばいいだろ。言われなきゃ、金を稼いでもいいんだって誰だって思うに決まってんじゃん!」

 ぴくん。その言葉を聞いて、保安官の目の色が変わった。

「それはつまり、昨日も……ここで金を稼いでいたわけかな?」

 デデは、自分が言ってしまったことの過ちに気づき、思わず口を押さえた。だけど、もう遅い。保安官はむんずとデデの腕を掴んで、ぐいと引っ張る。

「キサマのような悪ガキには、きつ~いお仕置きが必要だな!」

「はぁ? ふざけんな、俺はおっさんなんかに付き合ってる暇は……」

 抵抗するデデに、保安官の怒りが沸き上がっていくのは、目に見えて分かるほどであった。なにせ、保安官の体から青いオーラが溢れるほどなのだから。

「あ、あれ……フォル、なんかへんなのが見えない?」

「あぁ、見えるゼ」

 でも、他のヤツには見えてないようだナ。フォルは周りの人たちを見て、そう言った。

 保安官の体から沸き立つ、見ているだけで氷のように冷たくなるような青いオーラ。それはポメたちにしか見えてなかった。

「ぐぐっ、どいつもこいつも……」

 ダンッ。保安官がしっぽを強く叩き付けたと同時に、オーラはまるで爆発でもしたかのように弾け飛んだ。

「オレサマは保安官だぞ! このオレサマを、正しいことをしてるオレサマをバカにするなぁ!」

 それはここ一番の、あまりにも大きな怒鳴り声であった。その声がどこまで響いたのかは分からない。少なくともこの大きな噴水の周りの人たち全員には、届いたようだ。

 少しの間、足音すら聞こえないほどの静けさが辺りを包み、ざわざわとした声が立ちこめる。

「う、あ……」

 そしてその声を、一番近くで聞いていたデデは、足から力が抜けていってへたり込んでしまった。口をぱくぱくさせて、目はどこを見ているかも分からない。

 保安官が乱暴に腕を引っ張ると、デデはまるで操り人形のようにふらふらとしながらついていった。

「ったく、お前がすぐにデデと会ってれば、こんなことにはならなかったのにナ」

「うぅ、分かってるよ……」

 いつものデデなら、引っ張られても必死に抵抗はするだろう。だけども今のデデは、されるがままである。

 どこか謎があったけども、今はそれについて考える暇はない。

「……僕が、助けなきゃ」

 このまま追いかけないでいると、どんどん遠ざかってしまいどこへ行くかも分からなくなってしまう。

「助ける? お前みたいな子どもじゃア、デデと仲良く捕まるのがオチじゃないカ?」

 その言葉が、ポメの胸に突き刺さる。何せ、助けたいという気持ちがあったって、あんな大人から助け出す方法なんて思いつかないのだから。

「……それでも、見捨てられないよ。だってデデは、僕を助けてくれたんだから」

 ポメは一度、二度と足踏みをすると、大きく深呼吸をして追いかけようと足を振り上げた。

「お、おい待てよ!」

 しかし後ろから肩を掴まれ、ポメの勇み足はそのまま真下におろされた。ポメを引き留めたのは、先ほどまで一緒に話をしていたジェコであった。

「ジェコさん……なんで、ここに?」

「さっき大きな声が聞こえたからさ……しかも君が行った方向から。何があったんだ?」

 ポメはぐっと拳を握りしめて、ゆっくりと俯いた。

「友達が、連れてかれちゃったんだ。保安官って人に」

「ほ、保安官だって!?」

 その言葉を聞いて、ジェコはしっぽをびんと空に立てて大声を上げた。だけどもしっぽはすぐさま力を失ってしなしなとしおれ、心なしかジェコの顔が青くなっていく気がする。

「大丈夫……?」

 声をかけるも、まるでジェコの耳には届いていないようだ。大きな口を小さく震わせて、か細い声で何かを呟いている。

「あぁ、まずいまずいまずい……あの人からは、にげ、にげないと……」

 その声ははっきりとは聞き取れない。だけどもこんな反応を見れば、ポメたちはなんとなく分かる。ジェコは保安官について何か知っていると。

「ねぇジェコさん、保安官とは知り合いなの?」

「え、あぁ……あっ! そ、そうだな……まぁ……知り合いっちゃあ知り合いだけど」

 ジェコの目線はポメに向いてなくて、どこかを見ていたり、どこも見ていなかったりしている。まるで、いいわけを考えている時のような仕草であった。

「おねがいジェコさん、僕の友達が連れてかれちゃったんだ。助けてよ!」

「お、オイラが……いいや無理、無理だって!」

 ジェコはぶんぶんと首を横に振り、しっぽを丸めてその場でうずくまってしまった。

 大きな通りで急に誰かがうずくまるというのは目立つもので、周りの人たちはそんな姿を見ていたり見ていなかったり、見ないようにしていたりしていた。

「……ジェコさん、あの保安官ってどんな人なの?」

「…………」

 しっぽの丸みが、少しだけ緩やかになっていく。ジェコが顔を上げると、目にはうるうると涙が溜まっていた。

「あの人は……保安官さんは、昔からお世話になってたんだよ。温厚な人でさ、オイラにもよく気さくに話しかけてたよ」

 温厚な人。ジェコはそう言うけども、さっきまで目にしていた保安官に、そんな言葉が似合うとはポメには思えなかった。

「でもそれは、昔の話。いつからか人が変わってしまったようにあんな厳しくなったんだ」

 ジェコはちらりと、噴水の方を見る。そこにいるのは、噴水の脇をただただ通り過ぎていく人たちばかりである。

「昔はあの噴水の周りでも、商売はしてたんだよ。同じような店は出しちゃいけないってルールはあったけどな。でも保安官さんがへんになってからは、あそこで商売はしちゃいけないって決まりになったんだよ。噴水の景色をぶち壊しだとかなんか言ってさ。逆らうと、言うことを聞かない、バカにされたなんて怒り出して、みんな牢屋に入れるんだよ」

「そうなんだ……」

 この噴水は、町の中心にある。だからこそ人通りも多いし、ここで露店を開いたり演奏を披露すれば大勢の人が寄ってくれる、絶好の場所だ。

 そういう人たちのいない今の噴水周りは、それはそれでいいかもしれない。だけどもジェコのようなにぎやかさが好きな人には、物足りないものであった。

「とにかくあの人には、顔を合わせない方がいい。君だってきっと捕まってしまうよ」

「でも、友達が……」

「あ、あぁ分かってる。でも捕まったって、十日もすれば釈放されるはずさ。今までも、みんなそうだった。だから無理しなくても……」

 十日もすれば。それは今のポメにとってはとてつもなく長い時間になる。アルメリシアがどうなってるか。ルーチ・タクトは、ママはどうしているのか。

 状況が分からないポメたちにとって、アルメリシアに帰るのに十日も足止めされるのはたまったものではない。

「……ごめんなさい。僕はそんなに待てないんだ」

 ポメは振り返って、まだ僅かに見えた保安官を見つけた。駆け出すと同時に、フォルが耳元で小さく呟く。

「いいのかァ? お前みたいな子どもが、本当にあの大の大人から子ども一人を助けられるのかねェ?」

「…………」

 今度のポメは、足を止めない。一歩一歩踏み出して、進んでいく。

「確かに僕は子どもだけど……子どもにしかできないことも、あるはずだよ」

 二歩、三歩と進むごとに歩みは早くなって、次第に足を振り上げて走り出した。

「へン、よく言ったナ。それじゃあ覚悟を決めて、助けに行くカ!」

「うん!」

 今度は、僕が助ける番だよ。拳を強く握り締めて、ポメは心の中でそう呟く。保安官を追いかける道のりは、ふしぎと怖くはなかった。

 

 ―――

 

 保安官のあとをついていくと、だんだんと町の中心から離れていくのが分かった。しかも保安官が進む道はお店や家などが少なく倉庫のような建物が多くて、人の気配も少なくなっていく。

「おら、もっとしゃっきりと歩け!」

「あぁ、う……」

 保安官にぶんぶんと腕を引っ張られて、デデはただ静かに従って歩いていた。

「……やっぱり、おかしいよね。あんな風にされたら、いつものデデだったら逆ギレするのに」

 ポメは授業のときのデデしかよく知らない。だけどもその授業のときだって、デデはよく先生に叱られているのを知っている。

 それでもデデは反省なんてしない。むしろ屁理屈を言って先生を余計に怒らせるんだ。どんなに先生に叱られても、デデがあんな風になることなんて一度もない。

「さぁここだ。入れ」

 遂にノウィザーを囲む外壁の傍までやってきた。いくつかの建物が並んでいる、その中の一つに、保安官とデデは入っていく。

 そこは一階建ての小ぢんまりとした建物。その入口には、衛兵が二人立っていた。

「あの衛兵がいちゃあ、正面からは入れないナ。どうすんダ?」

「…………」

 ポメは自分が牢屋に入れられた時のことを思い出そうとした。あの時、デデはどうやって助けてくれたのかを。

「デデについてって、壁が壊れたとこから外に出たんだよね……」

 ポメは衛兵に見つからないように、建物の横に回る。木箱やらが積まれていて、まるでごみ溜めであった。

「さすがに壁は壊れてないね」

「当然だロ! もしかしてそれを期待してたのカ?」

「いや、そうじゃないけど……」

 ふと、ポメは木箱をじっと見る。無造作に積まれてはいるけども、うまい具合に階段のように一段一段よじ登ることができた。

「よいしょっと」

 ポメはその一番上まで登ると、丁度いいところに小さな窓があった。しかもフタもされてなくて、ポメもなんとか通れそうなサイズだ。

「ふふん。子どもだからこそ、できることだね」

「へん、得意げに言うナ」

 ポメは壁に足をかけながらぐいとよじ登り、窓の向こうへすとんと落ちていった。

 さて、これでなんとか建物の中には入れた。だけどもポメを待ち受けていたのは、埃の立ちこめるうす暗闇。ポメはぐっと息を殺して、一歩一歩踏み出した。

「ずいぶんとちらかってるナ。ここは倉庫カ?」

 そこは保安官の押収したものや落としものを保管しておく場所であった。そのため、がらくたがそこかしこに置かれている。

 なので前がよく見えないもんだから、ポメは思わず竿のような長いものにぶつかった。竿はゆっくりと倒れ、ガチャンと大きな音が響き渡る。

「おいバカ、慎重にいけヨ!」

「わ、分かってるよ」

 ポメはさっきよりもゆっくりと、じっと目を凝らして進んでいく。するとがらくたの向こうに、ぼうっとした明かりがあった。そこには保安官の姿もちらりと見える。

「いいか、オレサマは用事があるからここを離れる。戻ってくるまで大人しくしてろよ?」

 そう言うと、保安官のリズミカルにしっぽをびたびたと叩く音が遠ざかっていく。

 保安官がいなくなった。今がチャンスだ!

 ポメはガチャンガチャンとがらくたを押し倒して、明かりの灯った部屋に入る。そこには二つの小さな牢屋があり、その一つにデデが閉じ込められていた。

「デデ、助けに来たよ!」

「うぅ……俺は……」

「ねぇ、デデ……こっちを見てよ。どうしたの?」

「ダメだ、ダメなやつなんだ……大人しくしてないと……言う通りに……」

 声をかけても、デデは俯いたまま、うつろな目で地面を見ている。まるで自分を見失っているようで、こっちには気づいていなかった。

「やっぱりへんだよ……どうしちゃったんだろう」

「とにかく今は、ここから出してやろウ」

 後ろを振り返ると、そこには保安官のデスク。その上にはいくつか箱が置いてあった。

 そのどれかに、鍵があるかもしれない。ポメは駆け寄り、一つ一つ箱を開けていった。

「うーん違う、これも……」

 二つ、三つ。箱の中には鍵らしきものはない。四つ目の箱に手を掛けて開けても、やはりそこには鍵はなかった。

「…………」

 だけどもポメはその箱の中を見て、ピタリと手が固まる。

「おい、どうしタ?」

 その中には、一つの指輪があった。豆粒ほどの青い宝石のついた、ただの指輪。だけどもポメはその指輪の宝石に、何か引っ掛かるものを感じた。

「これ、どっかで見たような気がする……」

 その冷たい感じのする青い色、それがどこかで見たことあると思わせていたのだ。そう、どこかで……しかも、ついさっきまで見ていたもの。

 考えながらじっと眺めていると、宝石の奥でなにかうごめき出して、ポメのしっぽがピンと立った。

「フォル……僕、なんかマズいものを見てるかも」

 ポメが後ずさりするや否や、宝石からはバチバチと青いオーラが雷のように弾けた。

 オーラと共に、何かがはい出てくる。宝石からまるでそこが"穴"のように、黒く細い腕が伸びた。テーブルを掴み、そのまま体をぐいぐいと持ち上げている。

 首がぼんっと出てくると、体はぶわっさと勢いよく飛び出し、辺りに草のようなものが舞い上がった。

「ク、ケケ……カァ」

 薄暗い藁に身を包んだようなそれは、枯れ枝のような細い手で自分の顔をカシカシと擦る。その顔といえば仮面のようにも見えるけども、木の板でできたような大きな口はにたりと形を変えていた。

「な、なんなのこれ……」

「俺だって知らねぇヨ!」

 それはポメたちに気づくと、仮面にくり抜かれた目の部分で、ポメを見つめる。だけども目の部分の奥には青くぼんやりと光るだけで何も見えなくて、まるでどこまでも続く"穴"のようになっていた。

「お前はぁ……オレサマが、見えてるんだなぁ?」

 それはふわりと体を浮かせ、ゆっくりとポメに近づく。体を覆う藁がさわさわと、音を立ててうねっていた。

「……君は、一体なんなの?」

「フン、この宝石がなんだか、知らずにお前は覗き込んだというわけかぁ?」

 ポメはゆっくりと頷いた。すると目の前のものがぐわっとポメの前までやってくる。肩をがっちりと掴み、口を揺らすとカタカタと音が鳴っていた。

「オレサマは、この指輪に宿いし者よぉ。正しき者が、声を使って正す。そういう力を授けるのが、オレサマの仕事さぁ」

「仕事……?」

「へへ、なんか辛気クセーやつだナ」

 フォルのその言葉を聞くと、ハコトは首をかくんと傾けた。

「キサマら……オレサマをバカにするかぁ?」

 指輪の主の体が、ぷるぷると震えている。すると周りからは青いオーラが立ちこめて、体中の藁が逆立ち始めた。

 この感じ、どこかで見たことある。いや、どこかじゃない。はっきりと分かる。ポメはいやな予感を察したけども、身構える前に指輪の主の口が大きくがばっと開いた。

「この気高きオレサマをぉ……バカにするなぁっ!」

「うっぐう!」

 口の奥、そこから放たれた怒鳴り声に、ポメは悶絶した。"音の大きさ"そのものは大したものではないけども、それは空気を大きく揺さぶるような衝撃があった。

 ポメはその声の"圧"をまともに受けてしまったのだ。足ががくんと、力が入らない。だけども指輪の主はポメの肩を掴んだままで、へたり込ませようとはしない。

「な、何するのさぁ……」

 ポメはぐっと拳を握って足に力を入れる。だけどもさっきの声が頭をよぎると、ポメの胸の奥底にある心が、冷たい鎖のようなもので縛りつけているような感覚が襲った。

「うあぁ……」

 顔を上げるも、目の前のものに対してなんとも言えない恐怖を覚える。

「やいやい、お前がデデをおかしくした張本人ってわけカ?」

「ケカカ、おかしくだとぉ? オレサマはあの悪ガキを、正したんだよ。オレサマの言葉は、いつだって正しい。だけどもそれを聞けるヤツは少ないからなぁ。だからあの保安官がオレサマの代わりに声の力を使ったのさ」

 けたりけたり。口を鳴らして笑う様は、ポメたちが見たこともないような異質さがあった。だけども、怯えてる暇はない。ポメはぶんぶんと頭を振り払って指輪の主を睨みつけた。

「デデを……僕の友達を、元に戻してよ!」

「ふん、なんで正してやったのか分かってないようだな。あぁそうか……キサマもあのガキの仲間か」

 ポメの背中に、ぞくりと冷たいものが駆け上がった。さっきまで気づかなかった、人の気配が、後ろからする。

「それじゃあキサマもまた、保安官に叱ってもらうしかないなぁ」

 びったん、びったん。しっぽを強く叩く音。ゆっくりと振り返ると、そこには保安官の姿があった。

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