第9話 鏡

合わせ鏡!


「アリスさん、そのアニメのDVD見れますか?」

「はい、録画してあるから、見れますけど・・・」

「見せていただけますか?」

「ええ、いいですけど・・・役に立たないと思いますよ」

「物は試しです」


俺達は帰宅して、アリスさんの出演しているそのアニメを見た。

画面に映しだされたのは、「鏡の向こう側」。


「アリスさん、簡単なストーリー、教えていただけますか?」

「ええ、では説明しますね」

「はい」

アリスさんが、解説してくれた。


【時は近未来。


京田ミラというJCの女の子がいた。

アリスさんの演じている主人公だ。


ある日、変わった話を耳にする。

平凡な毎日に飽き飽きしていたミラは、話に聞くパラレルワールドに行ってみたいと思っていた。

あの時こうしておけばよかったと、後悔することがある。

もし、別の道を選んだ自分がいたら、入れ替わってみたい。

その道を選んだ自分も、きっとそう思っているはずだ。


そんな時、ある話を耳にする。

深夜0時の、卯月駅の鏡を除くともうひとりの自分が現れ、会話をすることができる。

それは、違う選択をした自分。


そして、会話をし入れ替わる事が出来るが、結局今の自分がベターだと互いに判断し、

元の生活に戻る。


そういう話が、一話完結で毎回放送される】


という、お話だ。


「治朗さん、昨日真夜中に鏡を見ませんでした?」

「いつも、見てるけど・・・」

「そうじゃなくて、初めて見る鏡です」

「そういえば・・・」

俺は昨日の事を思い出した。


昨日、疲れていた俺は、電車を乗りすごし、いつも下りる駅を通り過ぎてしまった。

でも、終電はない。

そこで、その駅からタクシーに乗って帰ることにしたが、その前にトイレに行った。


そして、鏡を除き、冗談で言った。

「もし、共学に行ってたら、どうなっていたかな」と・・・

「変わってあげようか?」

空耳と思った瞬間だ。

すると、鏡が光だした。


気がついたらトイレで立ちつくしていた。


「治朗さん、その駅名、覚えています?」

「確か、霜月駅だったかな・・・」

「行ってみましょう。深夜の12時に・・・」

アリスさんの提案にかけてみることにした。

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