第7話 前進・・・?
「治朗さん。千円札は夏目漱石、そう決まってるじゃない」
「ハハハ、そうだよね」
詳しく話せないので、俺は500円玉を4枚だした。
「はい、確かに。領収書いるかい」
「いや・・・あっ、お願い」
俺は、もしもの証拠品のひとつとして、もらっておくことにした。
アリスさんと店を出る。
「・・・治朗さん・・・」
「アリスさん、お札の肖像画について教えて下さい」
「今更ですか?」
「お願します」
俺は真剣な目で、アリスさんを見る。
それが、アリスさんには伝わったようだ。
「千円札が夏目漱石、五千円札が新渡戸稲造。一万円札が福沢諭吉です。
2千円札はすぐに消えましたが、裏に紫式部でした。」
俺の元いた時代では、2004年に変更になっている。
「治朗さんの、いた世界では違うんですか?」
「千円札が野口英世、五千円札が樋口一葉、一万円札が福沢諭吉です。
2004年に変わりました」
「そうなんですか・・・」
なんてこった。お札の肖像画が違っているなんて・・・
昔のまんまなんて・・・
まあ、新しい肖像画が別人でなくて、良かったよ。
「治朗さん、たいした決め手には、なりませんでしたね」
「ええ」
確かに、肖像画が違うだけでは、決め手にはならない。
でも、一歩前進した気がする。
「治朗さん?」
「何?」
「行ってみませんか?治朗さんの会社」
「えっ?」
「何かわかるかもしれません」
「そうですね」
そうだ、なぜそれに、気がつかなかった。
俺は行ってみる事にした。
一応、その場所へ行ってみよう。
タクシーを拾い、俺達はその会社に行ってみた。
正確には、会社の場所だ。
程なくして、到着した。
しかし、そこには俺の・・・俺達の立ちあげたゲーム会社はなかった。
代わりに会ったのは、アニメ雑誌の編集部。
「な・・・なんてことだ・・・」
「治朗さん、ここ」
「えっ?」
「ここ私の知っている治朗さんの、勤めているところです」
なんだって?
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