第2話 食い違い

「パラレルドワールド?」

「そうです。パラレルワールドです」

パラレルワールド、平行社会だ。


人はいくつもの、分岐点に出会う。

そのたびに、選択をして今に至るわけだが、別の選択をして自分もいる。

その世界が、パラレルワールドだ。


「治朗さんは、昨日までは、普通に生活してたんですよね?」

「ああ」

「じゃあ、考えてみましょう」

「何をですか?」

「どこで、紛れ込んだかです」

そういえば、どこだろう・・・

考えてみよう・・・

昨日の行動を・・・


「治朗さん?」

「何?」

「その前に比較してみましょう」

「何をですか?」

「あなたの知っているあなたと、私の知っているあなたとの違いです」

確かに、その必要はありだな。


「まず、俺は19××年7月10日生まれ、O型だ」

「私の知っている、治朗さんもそうです」

この女の事は、俺は知らないので、比較できないので、やめておこう。


「俺は、○○幼稚園に3年間通い、小学校4年の時に、転校した」

「それも、私の知っているあなたと、一致しています」


「俺は、中高一貫の私学の男子校に通った」

「そこは、違います。私の知っている治朗さんは、中高一貫の、私学の共学です」

初めて食い違いが出た。


「君の知っている俺と君とは、そこで出会ったのか?」

「いいえ、私はその学校には通っていません。」

どうやら出会いは、学生時代ではなさそうだ。


「大学は、共学ではあるが、俺の専攻した学部は、殆ど女子はいなかった。

サークルは、落研だった」

「私の知っている、治朗さんは大学には行っていません。専門学校に行きました」

「何の?」

「アニメです」

「アニメ?」

「はい、そうです」

アニメか・・・意外だ・・・

確か迷ったんだよな・・・大学かアニメの学校か・・・


「で、君のしっている俺は、アニメーターなのか?」

「残念ながら、なれませんでした。でも、近い仕事をしています」


近い仕事というのは、会社員ではないのか?

いずれにせよ、俺よりは楽しそうだ。

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