第71話 まっ、いいか

「ちょっと、お姉さん教えてくれる?」

 クリーニング店受付のデバネズミに

 質問してくださる年配の女性。

「お姉さん」に気をよくして営業スマイル!


「これで、これ取れる?」洋服のシミですか?

 ご婦人の手にはの箱。

 これは、右手人指し指のイボ!

 ここは薬屋さんじゃありませんけど、

 まっいいか、答えちゃおう。


 どちらも皮膚が硬くなった状態だ。

 できる場所の違いで名称が違うだけよね。

 ニキビを吹き出物っていうしね。


 まっいいか、適当に答えちゃおう!

「取れると思います。お大事に!」知らんけど。


 更年期の口癖は「まっ、いいか」

 思考停止の適当な脳じゃないと疲れるもの。


「座薬飲んで熱下がりますか?」じゃないし。


「お姉さん、教えてくれてありがとう。あっ、

 そういえば、このクリーニング屋さんに

 歩いて来てる子いたよね?辞めちゃったの?」


 クリーニング屋って分かってたんですね?

 そういえば、ここのお客様だったわ。

 思い出すデバネズミ。


「娘さんが一人いるって言ってたわよ」

 それ、私の事です。

 久しぶりだから、お互い顔を忘れている。


 まっいいか。まっ、いいよね?

 恥をかかせるのも悪いし、気まずいしね。


「その人、辞めたみたいです」

 円満解決を望む幸年期。


 

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