第59話 悪夢

「変な夢を見た!」興奮している夫

「どんな夢?」一応聞くデバネズミ

 夫婦の夢の報告会は慣れたもの。


「フムフム……それで?へっ、また?」

 夫はデバネズミの死ぬ夢を見たらしい。

 

 新婚の頃から10年に一度は見る夢。

 

 悲しかった。寂しかった。辛かった。

 夢の感想を聞くたびにいい気分になる。


「私の存在はあなたにとって大きいのよね」

 ガハハと笑うデバネズミ。勝った!


 夫が首をふる。

「今回は違った……確かにお前は死んだ。

 病院のベッドの上で死んでたんだ。

 医者は落ち着くためにタバコを一本吸う

 ように言った。言う通りに吸っていると……」


 大泣きしたんでしょ?私の遺体を抱き締めて。


「この後がお前らしいんだよ」

 あなたへのラブレターがあったの?

 私のへそくり見つけたの?


「急にむっくり起き上がって、

『何で私死んだんでしょうね?』って医者に

 聞いてたんだよ」


 分からないことは何でも聞くデバネズミ。

 

 死んでもそうするデバネズミ。


 悪夢だ!

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