第56話 人間の皮?

「カボチャのスープが飲みたい」

 蒸し暑いと食欲なくなる夫と娘。

「お昼はカレーにしてね。牛肉だよ」

 娘のリクエストは牛肉、夫は豚のひき肉。

 カボチャ、人参、ジャガイモ、玉ねぎ。

 皮を剥きまくる。

 

「ねぇ、あなた、また痩せたよね?」

「お前また太ったな」最近の夫婦の会話だ。

 体は痩せないのに歯茎は痩せるデバネズミ。

 両方痩せていく夫に栄養つけなきゃ。


「カボチャの皮は油で揚げるね。

 もったいないから、人間の皮も揚げようか?」


 いい間違いに気がつかないデバネズミ。

「……人間の皮?」「……人参だよ!」

 自分の皮だと思ったのか、ひきつる夫。


 もし、人食い巨人がいて料理作るなら、

 夫を鶏ガラのようにまず鍋に入れるだろう。

 だしをとったら、デバネズミを入れる。

 豚脂でこくを出し、最後に娘を煮込む。

 空想してニヤリと夫に問うデバネズミ。

「美味しそうでしょ?」「……。……は?」


 痩せても太っても笑いにかえよう。

 互いに老いても……見た目が変わっても、

 夫を愛しているデバネズミ。

 

 

 

 

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