第32話 箱入り娘

「昨日は11時半、その前は10時半、

いったい何処に行ってるのか?」

夫は娘が大好き。かわいくて仕方ない。

けれど嫌われたくないから、本人に言わない。


「友達とご飯でしょ。毎日帰ってくるんだから

それだけで偉い!」娘を褒めるデバネズミ。


若い頃、夜中にバイクで走り回った夫。

若い頃、プチ家出を繰り返したデバネズミ。

それに比べたら夜中十二時にまでに帰宅する

娘はなんていい子なんでしょ。


「殺人と盗み、売春、薬さえやらなきゃ

いいんじゃないの?」軽くいい放つ私。

「馬鹿か、お前は」怒鳴られた。クスン。


とにかく、夫は娘の心配ばかり。

成人した子供を信じるのが、親の仕事だ。

夫は頭では分かってるのです。

悪い虫が付かないように殺虫剤買いまくり

宝石箱もたくさんある。


「いつかはお嫁に行くんだからね」

機嫌が悪くなる言葉、無口になる言葉。

言わないように頑張るデバネズミ。


父親にとって娘は宝物だ。

生まれたときからずっと磨いてきた

宝石だ。手放すのが惜しいでしょ。


夫の場合、更年期関係なく、

バージンロードは号泣するかも。

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