第71手 主人公が闇堕ちする世界

「たれぞー!」


 かおりが心配そうに俺に近寄って来た。


「か…香…俺から離れろ…!」


 つい俺はそう言ってしまったが…。


 あれ? 俺は何で今、この女達と一緒にいたんだ…? 俺は、こいつらを殺さなければならないのに…。


 そうだ、今がチャンスだ。殺してしまえ。


「死ね!」


 俺は、香達を殺すためにここに来たのだ。てきは目の前だ。飛車にオーラを込めて、思いっきり投げつけた。


 1人目だ…!


「危ないですわ!」


 しかし、せっかく不意打ちで殺せるチャンスだったのに、星六段が風の力で香を動かした。俺の飛車は空振り、研究室の壁に大きな穴を空けた。


 流石に3人を相手にするのはキツイか? となれば、アレを使うしかない。俺は、この3人を確実に殺す為にある手段を選んだ。


「おい、クソジジィ! 俺に極玉ごくぎょくを寄越せ!」


 油断はしていられない。極玉でオーラを増幅させて、一気に殺してやる。


「よし…頼んだぞ、羽野五段。」


 クソジジィは、懐から極玉を取り出すと俺に投げ渡した。手に握った瞬間だった。まるで覚醒した時かのように、体の内側から凄まじいオーラが湧き上がって来た。


「おい、たれぞー! それを手放せ! そいつは体にすげぇ負担がかかるんだぞ!」


「じゃあ、お前らがさっさと死ねよ。」


 俺は、斬を手にした。今なら誰にも負けない。自信にも満ち溢れ、非常に気分が良かった。


 すぐに皆殺しにしてやる。


 その時だった。


「羽野五段…。ずっと君のことが僕の頭の中から離れなかったんだ。だけど今日、僕が君を倒して、史上最強の光属性の座を貰う。」


 背後から聞き覚えのある声が。この声は…!


「佐藤…四五六しごむ名人!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る