第4話 な ん じゃ こ りゃ

――人事異動


本日付で


フェイ・レドルバーグ近衛隊長 を 警護隊長へ


ラスター・グレッド警護隊長 を 大司教補佐官へ


異動とする。




「な ん じゃ こ りゃ ?」

 封を開いたまま、ケヴィンの目は点になっていた。

 大司教補佐官とは……?


「おいお前ら、どういうことか説明しろ!」

 ケヴィンの執務室に、男3人。

 大男は腕組みをしてニヤニヤし、長髪を結った男は部屋の斜め上の方を眺め、赤髪七三野郎は人の良い笑顔をたたえていた。


「見れば分かるだろうが。新しい役職を、わざわざ・お前の為に・作ったんだよ」

 そう言ってウィントは、じとりと睨んだ。


 アズウェルが補足する。

「元々、ラスター君がオーバーワーク気味だったからね。警護隊全体の指揮と、君の管理とで。それを分けただけのことだから、この形は理想的だと思うよ」


 ついでにと、ハースナーが笑いながら付け足す。

「最初は、フェイを平隊員にしてお前に付けるって説もあったんだがな。お前の身の回りのことはラスターにしか扱えんし、フェイにはその辣腕をトップで振るってもらった方がいいからな。本人はゴネたが、補佐官の必要性を強く訴えたら、飲んだよ」


「ハア、ナルホド」


 あまりの展開に頭がついてこないが、話をまとめると、フェイは降格にならず、ラスターは仕事が減った。ということだ。


「まあ、せいぜいラスターの尻に敷かれることだね」

 ウィントが笑うと、ハースナーは大笑いし、アズウェルも、ふふふと声を殺して笑った。


「失礼します。教王猊下から書簡です」

 開け放ったままのドアから、コポが入ってきた。

 ケヴィンがそれを開けると……大きくピースサインが書いてあるだけだった。


 ケヴィンは、まんまと一杯食わされたと気づき、額に手を当て天井を仰ぐ。


「ラスターさんがついてくれるなら、私の仕事も少し減って、助かります」

 コポが言い捨てて去っていったので、執務室はさらに笑いに包まれた。


<終>

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