第332話
「バティ。『ギルドマスター就任』おめでとう」
「「 おめでとう」」
「おめでとうございます」
さくらたちが冒険者ギルドに顔を出すと、いつものように受付嬢をしていたバティ。
いつものように全員の手続きをして貰ってから、さくらが言葉を贈るとスゥたちも祝いの言葉を贈る。
「ご存知でしたか?!」
「『ハンドくん情報』です」
〖 『掲示板情報』です 〗
「だそうです」
そう言って笑うさくらは、2つのビンを取り出した。
それを1本ずつスゥとルーナに手渡す。
「はい。お祝いです」
スゥがバティに。ルーナがジェシーにプレゼントした。
「私も、ですか?!」
「あ、ありがとうございます」
2人は驚きながら受け取り、ビンの中を見る。
カラフルで綺麗な石が敷かれ、色とりどりな花が咲きあふれたそのビンの中には透明な液体で満たされている。
「その花や石はスゥとルーナが集めたモノだ。
中の液体は樹脂。
シーナが集めてくれたもんだ」
「ユリティアでは散々迷惑をお掛けしました。
私たちに正しい道へ導いて頂いたのに満足なお礼もしませんでしたから」
「ジェシーも。
ここの警備主任に任命されたんだろ?」
さくらの言葉にジェシーは目を見開いてから、「正式な任命はまだなんですけど」と苦笑した。
ロンドベルはカウンター内で『不審な動き』をしている青年・・・見た目はまだ少年の姿を目の端に入れる。
同じようにジョシュアとジョアンナも男の様子を注視しているのに気付いた。
「彼・・・ですよね」
「ええ。たぶん」
〖 あの男のパーティは私たちと共闘、もしくはパーティに寄生を試みていました。
あなたたちが加わっていることで、『出来れば自分も』と思っているのでしょう 〗
「動きますか?」
〖 今は様子見でいいでしょう。
ですが、個人情報には気をつけてください 〗
「ハンドく~ん。
部屋が足りないって」
「すみません。ヒナルクさんの泊まられる部屋は空いているのですが・・・」
〖 では、ジョシュアとジョアンナはスゥたちと同部屋 〗
「ベルくんは廊下!」
「せめてテントを使わせて下さいよ」
「有料で~す」
「有料です」
「幽霊で~す」
「ちょっっ!最後!ヒナルク様!」
ハハハと楽しそうに笑うさくらたちにロンドベルは苦笑する。
「あの、ヒナルクさん。私たちもテントを」
「ベッドが空いているから使えばいいだろ?」
「あの・・・朝が早い2人に起こされると思いますが」
「目覚まし代わりだ」
〖 さあ。部屋はお借りしましたから、あとは部屋で騒ぎなさい。
スゥ。ルーナ。
はしゃぐのは構いませんが疲れすぎないように 〗
「「はい!」」
ハンドくんの注意に敬礼して答えた2人。
残念ながら、一緒の部屋に泊まる時は毎朝5時に飛び乗られて起こされるようになった。
ここで、結界を張って起こされないようにしようという考えがジョシュアたちには足りなかった。
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