第330話
「はい。どっかーん!」
人間の頭ほどの大きの球体が通路をゴロゴロと転がって行き、さくらの声と共に魔物たちが吹き飛んだ。
〖 スットライーク! 〗
「何やってるんですかー!」
さくらとハンドくんに唯一ツッコミを入れられるロンドベルが思わず声を上げた。
後衛で、魔物が寄ってきたのを見たさくらが「新しい魔法を試す」と言うから任せたら・・・
「ボーリング」
〖 ご主人の好きな娯楽のひとつです 〗
「これならダンジョンの通路は一発で終わるよね」
〖 よほどのことがない限り『ガター』にはなりません。
楽しく遊べて魔物も倒せて。
一石二鳥ですねぇ 〗
「うん!今度からもやっていい?」
〖 ダンジョンの通路だけですよ 〗
「は〜い!」
2人のやりとりに、ロンドベルは脱力感と疲労感に襲われた。
「・・・遊ばないで下さいよー」
「ベル。今のおふたりに何を言っても無駄です。
ご主人さまが「面白そう」と思ったら、それがどんなに『非常識なこと』でも簡単に実現してしまうのですから。
ご主人さまのことはすべて師匠に任せた方が一番なんです」
ルーナの言葉にロンドベルは苦笑する。
「えらく達観していますね」
「・・・今までが今までですから。
常識の枠に
ルーナの言葉にスゥとシーナが無言で、深く何度も頷いた。
「おーい。『お片付け』終わったか〜?」
「ジョシュアの担当があと1体です」
「じゃあ。
ジョシュアたちと交代でベルくん行ってら〜」
さくらの言葉のあとに小さな音が聞こえてきた。
「マモノ・セッキンチュウ。
マモノ・セッキンチュウ」
さくらが機械の音声の様に単調に魔物の接近を知らせる。
「はい。行ってきます」
スゥの言葉にシーナが駆け出す。
ロンドベルは反応が遅れたせいか、ルーナとスゥに両腕を引っ張って連れて行かれた。
「ほらほら。早く片付けて臭いを消さないと魔物が寄って来るぞ」
「「 はい!」」
ロンドベルの様子にクスクス笑っていたジョシュアたち。
しかし、早く片付けないと、換気の悪いダンジョンの中では魔物が血の臭いで寄って来る。
『無駄な戦闘』が続くのだ。
今みたいに周りに迷惑をかけないためにも。
少しでも早く片付けて臭いを消すためにも。
そして臭い消しの魔法を掛けるためにも。
ジョシュアたちは早く『解体ナイフを手に入れよう』と改めて思った。
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