第220話
神殿で見てもらって『魔法は掛かっていない』と言われた6人組のパーティがパニックを起こした時は、
店から出たあとも店の入り口で大暴れ。
通報を受けて駆けつけた警備隊に、『迷惑な酔っぱらい』として『
お目覚めは詰所の牢の中で、『宿泊料』込みの罰金として『銀貨5枚』を支払うことになった。
代金は金貨20枚と銀貨180枚に銅貨500枚。
ちなみにこれらは『お一人様』の請求額だ。
金貨は、魔法を使って大暴れした時に半壊させた建物と、テーブルなどの設備や備品代。
そして昨日今日と、営業を止めなくてはならなくなったために売り上げが無くなった分の補償が銀貨。
そして銅貨が飲食代だ。
それを知って6人は抗議したが、流石に建物を半壊させていれば高額になるのは仕方がないだろう。
飲食代にしたって、2時間も飲んで食べて騒いでの『どんちゃん騒ぎ』をするのに、『食べ放題・飲み放題』の定額制でなければ高額になるのは当たり前。
それも『祝い』と称して、高額のお酒を次から次へと注文していたのだ。
種類の違うお酒を浴びるように飲み続ければ『ちゃんぽん』状態になり、どんなに酒に強い人でも酔っ払うのは目に見えている。
大体、迷惑を
もちろん『罪状』が増えるため、食い逃げや飲み逃げをしたものはいない。
しかし、店側のミスで金額を少なく請求した客もいたのだ。
それに気付いても、あとから「間違っていたから不足分を払ってね」なんて言えない。
それを『原因』に被害額上乗せで請求するのは正当だ。
「あー。アナタ方は請求額を全額一括で支払いますか?それとも『犯罪奴隷』に
どこか怪しげな宗教団体がカタコトの日本語で言いそうなセリフだが、彼らへの脅し文句としてこれ以上最適な言葉はないだろう。
彼らは有り金を掻き集め、足りない分は装備品や冒険者用アイテムボックス内のアイテムなどすべてを中古で売り払った。
それでも足りないから、彼らは
彼らは今後も『冒険者』を続けていくつもりだ。
それは手っ取り早く稼げるからだ。
しかし、彼らは武器や装備が十分ではない『かけだしの冒険者』時代にどれほど苦労してきたのか、『忘却の彼方』に消え去っているようだ。
当面の問題として、『宿泊先を探す』のと宿屋の代金を稼ぐ必要があった。
ただ『冒険者ギルドでの醜態』と、『酒場で大暴れした』事実が町中に知れ渡っている。
・・・壊すかもしれない自分たちを、泊まらせてくれる『奇特な宿』があるとは思えなかった。
そして、この町全ての酒場から『入店禁止』を言い渡されている。
ギルド併設の酒場も、『騒動』の原因が飲酒と見做され、直後から利用禁止だ。
これしか方法がなかったとはいえ、『
残念ながら、彼らが騒動前に神殿にて『天罰は掛かっていない』事は知られていた。
そのため鑑定石で調べ直すことはされず、神殿での保護が遅れることとなった。
神殿には記録が残っているため、『騒動が原因で天罰を受けた』と見做され、のちに王都の主神殿の底深くへ移された。
そこは強力な天罰を受けたため、機織りや鉱山労働などで贖罪の出来ない者たちが堕とされる。
此処も『
二度と出られない其処から、自由になりたいために死を望み食事を断つ者がいる。
反省しないで逃げるために死を選ぶ者を、神々は許さない。
そのため、呼吸から栄養を補給出来るようになっているのだった。
そして、魔法を使えない点はコーティリーンと同じだ。
唯一違うのは『自我が消えない』ことだろう。
下の大陸では、天罰を受け続けて反省させるためだからだ。
反省しなければ、最下層までの大陸落ち。
最下層の大陸でも反省しなければ、次からは植物や家畜などの『転生の環』に組み込まれて罪を贖い続けるだけだ。
ちなみに、コーティリーンに入れられたら、転生後は『大陸落ち』が確定している。
そのため『反省してもすでに遅い』ことを自覚しているため、自我を失い『生ける屍』になる者も出る。
だが、ここで『生ける屍』にならず心からの反省をしていれば、大陸落ちしても『やり直し』がきく。
某国の前国王と前宰相の2人は、罪を認め深く反省しているため、まだ『見込みはある』と神々は思っている。
だいたい冒険者たちは『銀板相手に無礼を働いた』のだ。
『奴隷』に堕とされるより、毎日『悪夢』を見続けるほうがマシだろう。
・・・たとえ奴隷に身を落としても、『天罰』からは逃れられないが。
王都の地下牢に移された彼らは、パーティごとに牢へ入れられた。
そして、お互い励まし合いながら生が尽きるのを何十年も待ち続けることとなった。
今はまだ、引き籠もった冒険者たちが悪夢と幻影相手に無駄な戦いをして弱っていく最中のため、彼らに何が起きているのかを町の人たちはほとんど知らない。
冒険者たちが引き起こす騒動も、さくらが町を離れダンジョンに潜っている間に起きることだからだ。
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