第176話
今はまだ『保護観察中』の少女たち。
彼女たちは神殿で保護されている。
彼女たちには『犯罪の被害者』という疑いが出ていた。
神殿で『賞罰』を調べたが、賞罰欄は『まっさら』で、『奴隷』に落とされる理由は皆無だったのだ。
今はまだ『隷属の首輪』を外せないため、それ以上のことは調べられない。
ただ、この町に一番近い町にいた奴隷商人を町に呼んでおり、数日後には到着するらしい。
その商人が『正式な手続き』をして、少女たちの『隷属の首輪』を外すそうだ。
それが昨夕に宿へ『経過報告』に来た警備隊長の言葉だった。
そのため、以前にハンドくんがしてくれた話をした。
それを聞いた隊長は考えに没頭し始めた。
確かにジョルトの賞罰欄には『殺人』が表示されている。
それが『奴隷を殺してついたもの』とまで考えが至らなかった。
それ以前に『目の前の少年』の指摘通りだ。
『新しい奴隷』は『何処から来た』のか。
ジョルトはこの町から一歩も出ていない。
そして調べた結果、このひと月は奴隷が町に入った記録はないのだ。
元々『大陸の端』にあるこの町にいる奴隷は『ジョルトの屋敷』だけのはずだ。
その屋敷も『他の住民よりはひと回り大きい』程度で、奴隷がたくさん必要ではない。
主人であるジョルトの逮捕により、奴隷たちは保護されたが彼らは3人しかいなかったのだ。
「貴重な情報をありがとう御座います」
隊長は残っていたお酒をグイッと飲み干すと、深々と頭を下げて酒場を出て行った。
「オイオイ。警備隊長が『飲み逃げ』かよ」
宿屋のオッチャンが苦笑する。
「いいさ。オレが払うよ」
さくらが笑いながら自分の酒代と一緒に払う。
最初は『ツケにするからいい』と言ってたオッチャンだったが「オレが仕事を押し付けたようなものだから、その手間賃みたいなもんだ」とさくらに言われて隊長の酒代をさくらの代金に上乗せした。
さくらに会いに来た隊長が宿屋のオッチャンに『そのこと』を聞かされて慌てたのは数日後のことだった。
奴隷商人が
警備隊長が酒場で『奴隷商人の到着』の話をしていた時に『不審な動き』をしていた男が2人いたのだ。
ハンドくんが調査してくれて、彼らが今日の昼前に『徒歩で町を出た』ことを教えてくれた。
直後に私も行動を開始。
まず詰所へ行き、隊長さんと御対面。
「奴隷商人とはどうやって連絡を取ってこの町に呼んだのか」と聞いたら「通信で連絡を取り、商人専用の『馬車』で来る」とのこと。
馬車で来てもらう理由は、ジョルトの屋敷にいた3人の奴隷たちを引取ってもらうかららしい。
もう『隣の村』まで来ているので、明日には到着するそうだ。
「今日の昼前に『町を出ていった2人組』がいるんだけどな」
「アイツら『奴隷商人』に成り代わって奴隷たちを奪うつもりのようだぜ」
「神殿に保護されてる少女たちを殺す気かもな」
そう話したら、隊長さん「え?なぜ?どういうことですか!」って大慌て。
・・・なんだ?
そんな『簡単なこと』も分からんのか?
「少女たちから『なぜ奴隷にされて殺されかけたのか』がバレたらヤバい連中がいるからだろ」
私にそう指摘されたら『頭の中が真っ白』になったのか?
口も目も丸く開けた状態でフリーズしてたよ。
フム。久しぶりにやりますか。
『
ガッコーンッという
隊員全員の目が一瞬で隊長に向いたが・・・残念ながら、隊長の『おめめ』も白目をむいちゃっていました。
「あーあ・・・」
私の声と同時に、椅子に座ったまま後ろへバッターン!
「「「「「たいちょーーー!!」」」」」
おお!
隊員がわらわら〜と集まってきたよ。
「疲れ過ぎか?」
さっきも『簡単なこと』が分からないくらいに頭が働いていなかったし。
そう言ったら「なにを・・・」と聞かれたから「此方へ向かっている奴隷商人を襲って成り代わり、神殿に匿われている少女たちを口封じのために殺そうとしてる連中が昼前に町を出た」と教えてあげた。
「ありがとう御座います!」
「すぐに手を打たせて頂きます!」
その場にいた隊員全員から敬礼されたから「じゃあ頼むよ。隊長は少し休ませてやれよな」と言って手をヒラヒラさせながら詰所を出た。
この大陸の『敬礼』って、ジタンがやってた『心臓をささげよ』状態で腰を折るんだよ。
あれを見る度に『サビの部分』が頭を
さ〜て。
このあとはどうすんべ?
『一度、宿に戻って来てください』
ん?なんか『問題』でも起きた?
『はい。お昼を食べ忘れているお
『残ってしまったお昼ごはんとデザートは誰に食べてもらいましょう?』
戻る!
今すぐ戻るから!
だから『誰か』にあげちゃダメー!
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