第164話
さすが『わたしのハンドくん』だわ。
そう喜んでいたら、メニュー画面に『右側の青髪がウソツキ』とハンドくんからのメッセージ着信。
右側を見ると、窓際で青髪の従業員が警備隊の1人に事情を聞かれている。
そばの窓からはスリの子供たちが店内を覗いていた。
現状から『野次馬根性の子供』と見られているのだろう。
大人は遠巻きに見てるが誰も子供たちに注意をしていない。
・・・あれ?
この子たちの視線って『青髪の従業員』に向いてるよ?
「おい。ザーニ。青髪の
『鑑定』には『罪名:虚偽』と『罪名:窃盗』になっている。
私の言葉にザーニは素早かった。
従業員が『銀板の客』に濡れ衣を着せたのだ。
店名に泥を塗られた上、もし私が『正式な抗議』をしたら、店は潰れてザーニは『
それを回避するためなら何でもするつもりのようだ。
ザーニに問い詰められた青髪従業員の自白だと、やはり私の『肩布』が目当てのようだ。
彼女は途中から店内に入ってきたとかで、私が「『肩布との交換で上着をお礼に貰った』と勘違いした」と言い訳していたけどね。
『本当のこと言ったら?』魔法を発動。
これは『自白』を促す魔法で「本当は?」と聞く時に魔力を込めれば発動する単純な魔法。
日本では『
その魔法で「肩布を手に入れたら盗品オークションに高値で出品する」つもりだったとスンナリ自白した。
警備隊に連行される青髪従業員を『スリ集団』が遠巻きに見てる。
ああ。彼女が『内通者』だったのか。
だから『今日』を選んでザーニの財布をスったんだな。
私を武器屋に迎えに来たのは『警備隊長』の肩書きが付いていたが、今も私の従者よろしく近くで控えている。
「ご迷惑をお掛けしました」と頭を下げてきた隊長に小声でスリ集団と『内通者』の話をして「あとは任せるよ」と伝えたら、すぐに動いた。
そりゃあ『手柄が増える』んだから張り切るよね。
鑑定で、子供たちが次々と『捕縛』表示に変わっていくのを確認。
彼らには心の中で『合掌』してあげた。
だから『少年少女スリ合掌団』って名前をつけてあげたんだよ。
それなのに、数人は逃げ切れた様子。
捕まった連中は『鑑定石』で真偽を調べられるらしい。
露天商と違うのは『子供だから大人が怖くてウソを
鑑定石で調べられたら、『言い逃れ』は出来ないよね。
ザーニに「じゃ。買い物の途中だったから」と伝えて店を出ようとしたら「武器屋まで送らせてください」と言ってきた。
・・・まあ。それで気が済むならいっか。
チャララ〜というBGMとともに『
ちなみに『魔法』は私。
『資格』はハンドくんだ。
ザーニをお供に武器屋まで戻ってきたら「面白いもん見せてもらった」と豪快に笑われた。
警備隊はけっこう慇懃無礼な連中が多く、
「オレは全然面白くねーんだが?」
「悪い悪い。まあ、さっき見てた銃の説明をするから」
「ああ。『魔石を吸い込ませる』んだっけ?・・・使う『魔石』はどんな形でも大きさでもいけるのか?」
「穴が魔石を『吸い込む』んだ。何でもいいが、魔石2つ持ってるか?」
魔石は魔物のタイプで形が変わるらしい。
アイテムボックスから『ケセラン・パサラン』の魔石を取り出してカウンターに置く。
グリップから
「やってみな」と言われて、自分も魔石を穴にあてる。
すると抵抗もなく吸い込まれていった。
店主がマガジンを銃にセットし直すと、スライド部分についているゲージが白く光っている。
「魔石が減れば白から青、そして赤に変わっていく。青だといまの魔石だと1つ分の補充ってところだな」
『魔石を使う銃』って、私に合わせたんだな。
それも撃ち抜くのは『弾丸』ではなく『
思い通りに『折れ曲がる』ようだ。
・・・これはドリトスが作ってくれた武器だね。
短剣の鞘には『エルハイゼン国の紋章』がついてる。
・・・この大陸の連中はエルハイゼン国なんて知らないから、ただの『紋様』にしか見られないかな?
効果に『魔物除け』と、半径10メートルの『範囲結界』がついている。
流石に、この大陸で『魔物に懐かれる』のも『魔物の浄化』もヤバいからするなってことだよね。
『銀の短剣』って私の世界では『魔除け』だし。
ってことは『お守り』代わりかな?
店主の説明では、範囲結界は『お守り効果』のひとつにあるらしい。
・・・これはやっぱりジタンからだろう。
どうやらあの4人は、私が『旅立つ』のを知ってたようだ。
「こいつらをタダでくれてやるよ」
「ハァ?」
「だから言ったろ?『面白いもん見せてもらった』って。そのお代だ」
恩着せがましいこと言ってるけど、『元手』がタダだからだよね?
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