第162話
気付いたら、前の方に『富裕層』っぽい男性が歩いている。
『鑑定』で『
5人の少年のうち、4番目の少年が富裕層の横を通り過ぎる時に財布をスって、持っていたカゴの中に突っ込んだ。
同時に『おいで』魔法発動。
ゲームでよくある『
軽いと『なくなった』ことに気付かれる可能性があるから、ハンドくんが拾ってくれた『
・・・これを『等価交換』っていうんだっけ?
少年たちは手前の路地で曲がって行ったから、私とは直接接触がない。
周囲を見回しながらMAPでも確認すると、見張りをしてたらしい彼らの仲間も走っているのかその場から結構早いスピードで遠ざかっていく。
「おーい。前を歩く『丸いオッチャン』」
「あ?ワシのことかね?」
・・・自分が『丸い』って自覚してるんだ。
財布を見せて「こいつ落としたんじゃないか?」って聞いたら、服をアチコチ触りながら「ない!」と慌てだす。
そりゃそうだろう。
私が手に持っているんだから。
同じものが懐にあったら、それこそビックリだ。
ちなみに大声を出した訳では無い。
『
これなら『少年少女スリ合掌団』にバレないからね。
スられた本人が「ない!」って騒ぐのも、落としたと思って『来た道を戻る』のもよくあること。
立ち止まっている私の元へ慌てて駆け寄ってくるオッチャンを待つことに。
コロコロ〜って転がった方が早くないかい?
少年たちの逃げ込んだ路地を通り過ぎて、こちらへ来る。
どうやら少年たちは少しでも遠くへ逃げることに夢中なようで、スった財布が無くなっていることに気付かずにドンドン離れていく。
「いやー!ありがとう!ありがとう!」
そう言って、財布ごと私の両手を握ってブンブン上下に振りながら喜ぶ串団子・・・もといオッチャン。
頭・胸・腹が『三段の串団子』に似てるんだ。
イメージしたら、お腹すいた。
「しかしなんでワシの財布だと分かった?」
警備隊員たちが近くで聞き耳立ててるよ。
私が盗んだと思ってるのか?
「周り見てみろよ」
「こんな『分厚い財布』持っててもおかしくないのってオッチャン位なもんだろ?」
「・・・たしかに」
私の言葉に、オッチャンは周りを見回して納得する。
「お礼をさせてくれ!」と言われたが、まだ露店巡りを始めたばかりだ。
めんどくさいから「もう落とすなよ」と言って断った。
「そこらに警備隊員たちがいるんじゃないか?」
「さっきも数人とすれ違ったし」
「どうせなら、彼らに『警備』してもらって帰ればイイんじゃね?」
そう言ったら、警備隊員たちが寄ってきて「お送りします」と言っていた。
やっぱり聞き耳立ててたか。
露店巡りを再開していたら『少年少女スリ合掌団』が『団体さま』で戻って来る様子。
なんか、さっきより人数が倍近く増えてるし。
連中をやり過ごすために、近くの『装備屋』に入った。
「いらっしゃいませ。お客様。・・・失礼ですが身分証の提示をお願いします」
ああ。今着てる服は『一般市民の旅装』だっけ。
『ビンボー人は入るな』ってか。
普通に『銀板』を見せると、「え?銀板?!」と慌てたあとペコペコと態度を変えてきた。
・・・その態度。客に対してマジ失礼だろ。
「本日はどのような装備をお探しでしょうか?」
「んー?『魔法付与』や『魔法耐性』『魔力付与』とか付いてれば。あんまり装備っぽくないやつがいいや」
店の中を見回していたら、『鑑定』に引っかかった装備を発見!
・・・どこかで見たような水色のポンチョと白色のコーディガン。
どちらも『防刃』とか『防マヒ』とかありとあらゆる全ての『防攻』や『防魔』など、『これでもか!』というくらいに『防』がついている。
その上『防寒』や『防熱』『防塵』って・・・
「これら着てたら『無敵』じゃん」
「実は、こちらの装備は『相手を選ぶ』と言いましょ・・・うか?」
あ、ゴメン。勝手に着ちゃいかんかった?
この世界って『試着』って概念ないの?
こっちの様子を見てた店員全員がポカンと口を開けてるんだけど・・・
アレ?でもそこに『試着室』ってあるよね?
鏡の前でコーディガンを試着して、次に試着する予定のポンチョを手にしただけなのに・・・
「おおお!!!」
ん?どっかで聞いた唸り声・・・
振り向いたら『オッチャン団子』がそこにいた。
「この2着は『いつの間にか』店頭に並んでいた装備品なのですが、誰も手を出せなかったのですよ!」
それって『神の贈り物』か『神のイタズラ』だよね?
っていうか、私のアイテムボックスから『水色のポンチョ』と『白色のコーディガン』が消えているんだけど?
つまりこれは『私の服』だよね?
・・・それがなぜ『様々な付与』をつけてここにあるのでしょう?
そうハンドくんに聞いても返事がない。
・・・へんじがない。ただの『食後のデザートはいりませんね?』・・・ゴメンナサイ。
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