第145話



神殿に神々が罰を下すのか問い合わせようとした国もあった。

しかしその前にエルハイゼン国から『神々は主犯8人に罰を下された』と連絡がきた。

それは『他の者たちは自分たちの手で裁いて良い』ということだ。

貴族たちは『子供を買う金があることが問題』として財産没収。

平民に格下げされた。

『没落貴族』という不名誉な肩書きがつくのだ。

市井という『見えない檻』の中で、民衆という『監視者』に見張られて生きていくのだ。

『檻の中の囚人』よりツラい立場だろう。


そして領主たちは領民から『恥さらし』のレッテルを貼られた。

そして領民たちは国王に『領主の交代』を願い出て認められた。

後継者がいる者は領内の塔に幽閉された。

後継者も関与してた者や後継者がいない者は王都に送られて『懸案けんあん塔』に幽閉させられた。


どの国にも『懸案塔』はある。

それは『神の罰』という解決がまだつかない貴族以上の者たちが罰を受けるまで入れられる塔だ。

『罰』を受ければ、その程度にあわせて神殿の地下などに移動させられる。

塔から終生出されないのは王族と王政にかかわった者だけだ。




そして国際会議が繰り返された結果。

『コーティリーン国』は完全消滅が決定した。

『過去の事件』で『国としての機能』は既にない。

今は『研究施設』が『コーティリーン』の名を継いでいるだけだ。

その研究施設も今回の誘拐事件にかかわっていた。

研究施設はエルハイゼン国とセリスロウ国の国境に移築されて元の施設は徹底的に破壊された。

以前からさくらに『エルフ族は瘴気に弱いかも知れない』と指摘されていた。

そのため『エルハイゼン国から一番遠い』場所から『すぐ隣』に移築することで『瘴気の影響』を抑えることにしたのだ。

それと同時に各国の『監視の目』が集まる場所となった。

研究施設が残されたのは、飛空船や鉄道など今までの研究結果は評価されるものだからだ。

ただエルフ族は寿命を30歳にまで減らされている。

そのこともあり、研究員は全種族から集められることになった。


そしてここの警備は『さくらの親衛隊』が受け持つこととなった。

彼らは『さくらのため』なら、『権力』だけでなく『瘴気の影響』ですら跳ね返す強い精神を持っているのだ。



これからは『コーティリーン』の名はもとの地に残る『地下迷宮ダンジョン牢獄』をさすだけになった。




『聖なる乙女』が召喚されてからエルハイゼン国は確かに瘴気が薄まった。

そして正気に戻った国王レイソル宰相マクニカはさくらに対する自分たちの言動を恥じていた。

聖なる乙女たちの『お披露目』が決まってすぐ、鉄格子越しでジタンと面会した2人。

自身たちが治療院へ運ばれてから起きた『天罰騒動』や『暗殺未遂事件』、『エルフ族襲撃事件』などさくらの周りで起きたことを聞かされた。

そこでようやく自身たちが『瘴気にあてられて正気ではなかった』ことを認めた。

女神からの神託に国王として正しく応対し、さくらに礼を尽くして招いていれば『暗殺未遂事件』は避けられたのだ。


ジタンは父王たちにも『呪い』のことは伏せた。

アグラマニュイ国との関係を崩すこともなく『円満解決』出来たのだ。

それは『さくら自身』の望みだった。

『当事者以外に罰を与えないで』

だからこそ国王たちに罪は問われなかったのだ。

『終わったこと』を蒸し返す気はなかった。



ジタンは以前から計画していたことがある。

それは自身が『国王』になったら真っ先に実行しようと考えていた。

王城敷地内はとても広い。

純和風の『聖なる乙女の館』は敷地南部にある。

王城の隣にある『迎賓館』は二階建てで『横長』になっている。

王城が三階建てのため、王城内を探検していた時に屋上庭園から見たさくらの感想は「小学校の校舎みたい!」だった。


今、その隣に新たな迎賓館を建設計画中だ。

まだ『国王代理』のため勝手に着手出来ないのだ。

その『計画』を父王レイソルに伝えると賛成してくれた上、一筆したためてくれた。


そして最後に「さくら様に『申し訳なかった』と代わりにびてほしい」と頭を下げたのだった。



『計画』は『聖なる乙女のお披露目』が終わった翌日・・・『ボルゴたちの制裁』後に着手された。



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