第110話



水の女神の言葉に翼族の2人は周りを見回して「ここにひとりぼっち・・・」と呟く。

当時、ドワーフと獣人はさくらが寂しい思いをしないように何度も足を運んでいた。

しかし倒れたさくらを疲れさせる事になるから長時間は居られなかった。




『呪い』の件で神々は『出来る範囲』でさくらを守った。

しかしさくら本人が呪者や関係者の死を望まなかったため『守護』しか出来なかった。

そして『呪いに巻き込みたくない』という意思で神々を遠ざけた。

唯一、アリスティアラだけが苦しむさくらのそばにいられた。

時々、創造神が体内に溜まるおりを消すためにさくらのそばにいたが・・・

それでも『寝ている時』に限られていた。



『飛空船事件』で『若い神々』の神籍が剥奪された。

他の残っている神々がフォローしてきたお陰で『天災』は起きずに済んでいる。

神は『一つ』の守護に『二柱ふたはしら以上』存在する。

守護神すべてが神籍を剥奪されたものはない。

もし『守護する神が不在になった』としても、創造神やアリスティアラたち『上位神』が代わる事が出来るため一切問題はないが。






エルフ族の寿命も大幅に減らされた。

「長寿が偉い」とおごる彼らをこの世界で一番の『短命種族』にしたのだ。

それで反省をすれば良かったのだが、彼らの一部がのちにこの王城を襲った。

連中は王城の最上階を攻撃して侵入し、さくらを奪って『人質』にして『元の寿命』に戻させようとしたのだ。


要求が通りさくらを解放した後も『エルフ族の傀儡かいらい』として『自分たちの奴隷としてに良いよう操る使う』つもりでもいた。

自分たちの存在をおびやかすさくらを『神の愛を騙る娘』として『公開処刑見せしめ』で八つ裂きにするつもりだったのだ。

それを生かしてやるのだからエルフ族自分たちのために『隷属』するのは『当たり前』だろう。

襲撃犯たちは本気でそう考えていたのだ。



・・・その計画は『さくらへの悪意』を事前に察知したハンドくんたちのハリセン攻撃反撃で失敗に終わった。


連中には功績を認められたハンドくんたちの望み通り『600歳で死ぬまでハリセン攻撃を受け続ける』天罰が下った。

ハンドくんたちの話だと『天罰を受けてでも長生きしたかったんですから『本望』でしょう』とのことだった。

彼らはまだ100歳前後の若いエルフたちだ。

500年も天罰ハリセン攻撃を受け続けるのは自身の愚かな行為に対して反省を促すのに十分だろう。


ただ彼らを早く故郷に戻さないと、ハンドくんたちがおこなっている『肉体へのハリセン攻撃』が続くことになる。

ハンドくんたちはハリセンを手にして、姿を現すと同時に数発攻撃をして姿を消す。

そのためエルフ以外に『目撃者』はいない。

もちろんエルフたちは『襲撃者はハリセン』としか分かっていない。


神殿よりエルフたちの日々の様子についての報告と共に『見えない襲撃者』の報告も受けたジタンの表情筋が引きったのは仕方がないだろう。


神殿には『エルフたちは神々から罰を受けている』と返答した。

ハンドくんたちのハリセン攻撃を神々が止めていない。

黙認しているということは『神の罰』と同じことだ。


何より王城を襲撃してきたエルフたちを捕らえたのはハンドくんたちだ。

ハンドくんたちが『表舞台』に現れない以上、報奨を与えることはできない。

ハンドくんたちに尋ねても『さくらのためにした事』と突っぱねられるだけだった。

そのため公式には『さくら様の功績』となっている。

だったら『ハリセン攻撃』はハンドくんたちへの『報奨』と思えばいい。


ジタンの考えは神々と同じだったのだ。


『解呪』されてからはアグラマニュイ国の関係者たちへの天罰の嵐で神々は大忙しだった。


生命を奪う魂を消滅させるのをさくらは嫌う。

そのため『呪い』にかかわった者の一族老若男女全員から『記憶を削除』して最下層の大陸へ『生涯犯罪奴隷』として落としたのだ。

唯一残ったのは『自身が『高貴な存在』に呪いをかけた』記憶だけだ。

それは『直接かかわっていない者』にも等しく同じ記憶が植え付けられた。

その記憶だけは何度転生しても持ち続ける。

そして必ず『生涯犯罪奴隷』としてバツを受け続ける事になった。

賞罰欄に『天罰』がつかないため『神殿の保護』はない。


それを知った一族は嘆き悲しんだが『一度だけでなく何十回も繰り返し呪いを掛け続けた』事を知り『知る努力をおこたったのも罪』とバツを受け入れた。

宰相は幼い孫たちもバツを受け入れた事を知り泣いて幼子たちの赦しを乞うたが「誰でもない。お爺ちゃんが『やったことの成果』だよ」と言われて自らの愚かさを悔やみ泣き崩れた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る