第100話
そして『この部屋では直接座れるように『畳敷き』になっています』と言われた。
その言葉通り、台所にいても
元の部屋はフローリングだったからこの香りは嬉しい。
私たちの会話に気付かないドリトスは部屋の中を見回していたがハンドくんに促されて私を抱えて部屋へ入る。
お金持ちの家にあるような大きなテレビが置かれており、部屋に置いていた据え置き型のゲーム機から携帯ゲーム機まで揃っていた。
デッキもセットされていて、ビデオテープも
・・・うちのテレビはこんなに大きくないし、LDとブルーレイの機器は持っていなかったんだけど?
っていうか、この部屋の畳も家具もすべて『新しいもの』なんだけど。
向こうの部屋で使っている『ひじ掛け付き座椅子』も私物じゃないし。
でも座卓とか畳とかは神々が揃えたから座椅子もそうだと思ってて気にしなかったけど。
この『資金』もハンドくんの『功績』だったりするのかな?
でも『知らぬが仏 見ぬが
私に不利益になるようなことはハンドくんたちがするハズがないから・・・
ま、いっか。
テレビの前には座卓が置かれて私専用の座椅子も用意されていた。
ドリトスがその座椅子に私を座らせてくれる。
そして2人は私の両側に座布団を近付けて座った。
『何か観ますか?それともゲームをしますか?』
『まっくろくろすけ出ておいで~!』
私が映画のキャラのマネをしたらアリスティアラがクスクス笑う。
ハンドくんたちがテキパキとDVDをセットしてくれる。
「此処にいたのか」
ヨルクがハンドくんに連れられて部屋へ入ってきた。
「ただいま~。さくら」
後ろからさくらの頭を撫でるがさくらは気付かない。
それは両隣に座ったドリトスやヒナリが何度も撫でているからだろう。
「さくらぁー」
『あれ?ヨルク?』
今度は後ろからさくらを抱きしめる。
やっとさくらに気付いてもらえたが「さくらが苦しいでしょ!」とヒナリに引き剥がされた。
文句を言おうとしたヨルクだったがハリセンを持つハンドくんが目の端に見えて慌ててさくらから離れる。
ヒナリの横に座布団を持ってきて座り「なにが始まるんだ?」と尋ねるが「分からないの」と首を横に振られる。
ヨルクは座卓を回ってさくらの前に座って肘をつく。
端からではさくらのクチが読めないからだ。
またさくらの『言葉』を見落としてプイッとされるのはなんとしても避けたい。
「さくらー。セルヴァンには此処にいることは伝えたからなー」
『ホント!?』
「良かったのう」
さくらが目を丸くしてから嬉しそうに笑う。
そんなさくらの頭をドリトスが撫でる。
「セルヴァン様の様子は?」
「自室に『ひとりぼっち』で寂しそうだったよ。『早くさくらに会いたい』ってさ。ハンドくんたちがセルヴァンの部屋にいたから、さくらに影響がない所まで怒気が落ち着けばコッチに連れてきてくれるみたいだぞ」
ヨルクの話にさくらは安心する。
セルヴァンとは目を覚ましてから『会っていない』からだ。
実際には『騒動』の際にさくらを心配したセルヴァンはドリトスと共に寝室を覗いたのだが、その時のさくらは
そのためさくら自身はセルヴァンを『見ていない』ためずっと心配をしていたのだ。
セルヴァンが無事なこと。
怒気が落ち着けばハンドくんが
そして「早く会いたい」と言ってくれていること。
さくらはそれだけで嬉しかった。
『早く帰ってくるとイイな〜』と嬉しそうに笑うさくらをヒナリが抱きしめて「そうね。さくらが待っているんだもの。きっと早く戻られるわ」と微笑む。
ドリトスはヨルクの行動に内心驚いていた。
ヨルクがさくらのために、ジタンに「早く『さくらの魔石』を買い取れ」と言いに行ったことも、セルヴァンに『現状』を話して「
今までのヨルクなら有り得ない行動だった。
やはりさくらを通して2人は『成長』していると改めて実感した。
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