第78話



「・・・それで?セルヴァンたちが『乙女たち』相手にブチ切れた?」


「当たり」


・・・その時の映像を見せてくれるのかと思ってたけど?


「彼らの『怒気』が凄くてな」


「さくらは、かなり薄まった怒気にもあれだけの反応をしてたから・・・」


・・・・・・あれでも『か〜な〜り〜薄まってた』の?

けっこう『怖かった』し『痛かった』よ。


「その場にいたら泡を吹いて倒れただろうな」


「それ以前に、その場にさくらがいたら彼らは怒気を出さなかったでしょうね」


「・・・逆にそれでも無事だった『乙女たち』もスゴいよねー」


「なぜ彼女たちが『無事』だと分かったの?」


「なぜって・・・『目の前でひっくり返った』りしてたら、少しは気が収まったんじゃない?」


そうじゃなかったから『怒りが収まっていなかった』んでしょ?



「それはどうだろうな」


「もしかすると『100万分の1』くらいでしたら気が済んだかも知れませんね」


「『ティースプーン1杯分』か・・・いや。『耳かき1掬い分』くらいかもな」


「・・・どんどん減ってるよね?『気が済む』より『ざまぁ』って感じなの?」


「そっちが近いですね」



「・・・ありゃりゃ。どんだけみんなに嫌われまくったんだろ」



以前ヒナリたちがセルヴァンのことを『鬼と呼ばれてる』って。

『情け容赦ない』って言ってたけど。


・・・この世界に『桃太郎』はいないから『セルヴァン退治』は出来ないし、絶対させないけどね。






「10日経ってどう?怒気は消えた?」


「怒気は消えたのですが・・・」


「焦燥感が酷くてな」


「・・・このまま『冒険旅行』に行こうかと思ったんだけど」


「行くなら行くであの大陸は『下準備』がいるぞ」


「『パスポート』でもいるの?」


「似たようなものだな」


創造神の話では『身分証』があるとないとでは「入れる店や購入出来る商品が違う」らしい。

何より『町で滞在出来る日数が違う』し、『滞在費』まで発生するそうだ。


「必要最低限のものは用意するから。しばらくは『寝たきり』で回復につとめなさい」



さすがに10日間も飲まず食わずで眠り続けていたら、体力ガタ落ちだよねー。


「肉体なら『ガタ落ち』だが、体力自体は『回復』に向かっている」


つまり筋力は落ちたがステータスの体力はチャージ中って事ね。


「眠っていなさい。あちらへ戻る準備が済み次第運んでおくから」


ハンドくんたちがいないと思ったら、ベッド環境を整えに行ってるんだ。




「でも・・・旅行中は本当に『私たち』が手伝わなくてもいいの?」


「ハンドくんたちが一緒だし・・・どうせ止めても、ハンドくんたちを通して手伝う気満々でしょ」


そう言ったら2人とも苦笑してた。

・・・否定しないって事は『やる気』だな。



「手伝うのは別に構わないけど・・・」


『思わず降臨したり』と言いながらアリスティアラを見ると顔を背ける。

『キレて天罰落としたり』と言いながら創造神を見るとそっぽをむいた。


「そーゆーのは『や・め・て』ね♪」


ニッコリ笑顔で『希望』を伝えると「分かった」と約束してくれた。

神だから『約束』はたがえない。

それをちゃんと『約束』してくれたのだから大丈夫だろう。


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