第41話
それより『悪意の塊』を私に向けられたせいで、身体が弱くなった方が問題なんだけど・・・
『悪意ほど危険なものはありませんからね』
その悪意を通じて『呪殺』を狙ってきたんだよね。
・・・これが『乙女』に向けられたとしたらゾッとする。
『何言ってるのですか!』
『そのせいで貴女の身体は・・・!』
心臓や肺の機能が弱くなったけど。
でも『死ななかった』でしょ?
少しずつでも、完全じゃなくてもいいから『回復』出来るのかな?
ステータスを確認したら『体力』自体に増減はなし。
ただし『ステータス異常:呪い』になっている。
そのせいで弱ってるのは分かった。
『呪い』が解けても、すぐに全回復しないらしい。
『弱った身体を急激に戻すのは、身体に負荷が掛かりすぎる』そうだ。
RPGみたいに教会に行って、お布施という名で
『ゲームのし過ぎ』
じゃあどうやって『呪い』を解除するの?
『呪いをかけた本人が死ぬとか』
『呪いを跳ね返す『魔具』を使うとか』
『呪いを吸い取る『魔具』を使うとか』
『聖なる乙女が『呪いの浄化』をするとか』
あれ?『聖なる乙女』が浄化出来るなら私は?
『出来ますよ』
『でも今はダメですよ』
えー!なんでー?
『熱で体力が落ちているでしょう?』
『せめてその分だけでも回復させないと、ね?』
『はやく『人間』になりたーい』と妖怪アニメのセリフをいったら『人間じゃなかったらなんですか?』って言うから「
だけど『猫』は『寝子』とも言うんだよ?
2人に甘えて、セルヴァンにはひざまくらをしてもらって頭を撫でてもらい、ドリトスには手を握ってもらってる。
色々な話をしてから『あの後』の話をしてもらった。
隊長以外の密偵ご一同様は帰国を拒んだらしい。
隊長はアグラマニュイ国の使者に引き渡されてから『行方不明』とのこと。
「あらら。口封じに消されちゃったか」
「人を殺せば『賞罰欄』に『殺人』がつくから・・・」
「じゃあ『殺人』がついてる人が手を下したんだね」
私の指摘に言葉を詰まらせる2人。
だって賞罰欄に『殺人』はつくけど『何人』ってつかないよね?
付いたらダークサイドで『自慢』しそうだし、それを目当てで『連続殺人』されては困るよね。
「動物さんだった『密偵ご一行様』は、ない頭をどう使って何て言って『解体』から逃れたの?」
今度は苦笑する2人。
『乙女はまだいない。だけど来たときに『アグラマニュイ国』にも来てもらえるように交渉する』
そう言ったらしい。
確かに『乙女』が召喚されていれば、エルハイゼン国国内は大幅に『浄化』されているはずだ。
しかし、エルハイゼン国はアグラマニュイ国と『瘴気の濃度』は変わらなかった。
そのため使者たちは『乙女不在』という話を信じた。
『証明』はされたのだ。
逆に帰国を強く望んだ隊長は『任務放棄』と見なされたんだねー。
だから『よく考えろ』って言ったのに・・・
「・・・さくら?」
「大丈夫じゃ。眠っておる」
さくらが甘えるように『おねだり』してきて、言われるがままひざまくらをしていた。
上向きだと呼吸が苦しいらしく、ハンドくんが背中にクッションを挟んで身体を斜めにしている。
いつものように頭を撫でてやると嬉しそうに、でも弱々しい笑顔を見せた。
やはりさくらの『おねだり』を聞いていたドリトスは、さくらの手を握って他愛のない話をしていた。
そのうち、アグラマニュイ国からの『招かれざる客』の話になった。
自分としてはしたくもなかった。
それはドリトスも同じだろう。
連中は『さくらを殺しにきた』と言っていたのだから。
しかし、さくらが的確に指摘をしたことで、連中は考えを改めた。
そしてこのエルハイゼン国の庇護を受ける事を望んだ。
さくらの言葉を受け入れなかった『隊長』は、アグラマニュイ国から来た使者たちと国境を渡り自国へ戻った後で行方不明になった。
エルハイゼン国国内では使者たちの『護衛』という名の『見張り』がついていたから、国境を越えるまで隊長を手に掛けられなかったようだ。
またアグラマニュイ国の使者に紛れ込ませた、さくら曰わく『賞罰欄に殺人がついてる人』も、『護衛の前』では隊長を殺せなかったのだろう。
下手したら『王族を殺すために使者として送り込んだ』となりかねないのだ。
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