第18話
「やっぱり、こんなクズがトップにいる国なんか滅ぼした方が良くないか?」
「だからそれは『ダメです』って言ってるじゃないですか!」
おっとー。女神様降臨!
咄嗟に私を守ろうと抱きしめたセルヴァンと、私を庇おうと私の前に飛び出したドリトスに「大丈夫だよ」と声をかけた。
その言葉で緊張を解く2人。
ぴょんとセルヴァンの膝から飛び下りてアリスティアラの前に進む。
「だってさー。自分が礼を欠いた事に謝罪しないどころか、『元の世界』を侮辱したんだよ。そんな礼儀知らずなんか、半殺しにされても自業自得ってもんだろ」
「だからと言ってエルハイゼン国を滅ぼすなんて・・・」
「無礼で無能なクセに『国の顔』の自覚すら持ち合わせていない国王なんか『百害あって一利なし』!そんな役立たずはいない方が良いに決まってるじゃん!」
「それだったらまず『譲位』でしょう」
「クズ王の子がクズじゃないって保証はないでしょ」
「貴女の世界には『
「『蛙の子は蛙』とか『この親にしてこの子あり』とか『似たもの親子』とかって
だいたい、この国には『乙女の魔石』と『聖なる乙女』しか、国内外に自慢出来るモンがないんでしょう?
『聖なる乙女』不在の今なら『魔石の暴落』を起こせば一発じゃん。
今だって私が精製した作った魔石、2万個を超えているんだよ。
全部売っ払って国庫を潰したら、この無能な国王は国民から搾り取るよ。
そうすれば国民はこの国から逃げ出す。
この世界にはもう一つ『人間の国』があるじゃん。
そっちに逃げても『生きていける』でしょ。
他国へ逃げたって良いし、国王一族を滅ぼして『絶対君主制』を終わらせても良いんだよ。
君主制度に甘えて、暴君を放置して苦しんで生きていくのか、暴君や跡継ぎとなりうる国王一族を一人残らずすべて滅ぼして『自立した国』として一歩進んで『選挙制度』にするか。
それを決めるのは私ではない。
アイツらが見下している国民だけどね。
別に私だって魔石さえ売れるのなら、この国に執着する必要はない。
今だって私の意志で『自分の周り1cm以上の瘴気の浄化』を止めている。
1cmでバリアを張って、瘴気に触れないようになっているだけ。
瘴気を浄化する私の呼吸は、バリア内で循環しているから外部に漏れない。
だから私の周囲は浄化されない。
『招かれざる客』のレッテルを貼られているのに、誰が無償で浄化をするの?
だいたい浄化をしていれば
それなのに瘴気の浄化をしてやる必要はない。
私は自他ともに認めるお人好しだけど、そこまでするほど偽善者ではない。
「私は『島持ち』で『別荘持ち』なんだよ。島の瘴気を浄化するだけだったら体調は崩さない。マンションとその島を行き来するだけでも生活出来る。だったらこの国に、大陸に留まる理由がある?」
私の言葉にアリスティアラは悲しそうな表情をした。
別に私の言葉はアリスティアラに向けたものではない。
それよりずっと疑問に思っていることが一つあるんだが・・・?
「ねえ。女神様って『この場』に現れちゃってもいいの?」
ここは『私の部屋』でも『別荘』でもないんだけど?
アリスティアラは私の言葉で我に返り、周りを見回す。
うん。エルハイゼンの王城にある一室だよ。
「キャー!」
どうしましょう!とオロオロするアリスティアラにチャットで『ここの連中に声が聞こえてる?姿が見えてる?』と聞いたら『声は聞こえていると思いますが、姿は『光の
『じゃあお辞儀して退室したら?』と促したら「失礼しました」とお辞儀して消えた。
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