195-1.眞白の神(ディーシア視点)
*・*・*(ディーシア視点)
フィーと一緒に、
私はフィーと結ばれ、永遠なる時の中で……この世界を、地を作り、空を作り、住まう存在達を作らねばならない。
私達以外の、神々の創造も。
異界渡りをしてから……こんこんと眠っているだけだが、魂は動いているので身体とは別に動いてはいる。
フィーはまだ、自分の黑の世界を手放せないので今はここには居ない。
真っ白な世界に、私はただひとり。
けれど……この世界でただひとり生まれた時よりは寂しくはない。
だって、愛する相手がこれから一緒だとわかっているから。
「……ふふ」
このつぶやきだけで、どれほど他の世界での時間流が違うかもわからない。
チャロナは……カイルキアと婚約したのかしら??
もう結婚しているのかしら??
とっくに子供が出来ているのかしら??
まだ、私には瞬きの時間だけれど……あの子が作っていたパンがちょっと恋しい。
この世界に来たことで、私は簡単に他の世界には異界渡りが出来ない。
クロノソティス兄様はともかく、管理者である私達は……。
ちょっと残念、と思っていると……真っ白な世界に切れ目が出来た。
「やぁ、この姿では初めまして」
フィーにとても似ていて、フィーよりももっと大人の姿。目が虹色の男の人が出てきた。
たしかに、私もこの姿になってからは初めてだった。
「クロノ兄様?」
「うん、そうだよ。シア」
本当に……フィーが嫌がるくらいそっくりだわ。黑も特殊な世界らしいから、フィーが生まれる時にクロノ兄様とかが祝福を与えたそう。だから、姿形だけは似せてあるんだって。
「フィーは??」
「多分もうすぐ来るんじゃないかな? 僕はじい様達からのおつかい」
「おつかい??」
「これを君達に」
パッと手の上に取り出してくれたのは、白い布袋。
私が受け取ると……少し懐かしい良い匂いがしてきたわ。だから、封を開ければ……色んな『パン』が入っていた!!
「チャロナのパン!!?」
「そうらしいよ?」
「これ、どうしたの??」
「じい様達が、彼女達の婚約パーティーで祝福を与えたらしくてね? そのお裾分けでもらってきたんだってさ??」
「あら、まだ時間過ぎていないの??」
「と言っても、ここに来るまでにまた時間は大きく流れたよ」
「……そう」
だとしたら、さっき考えたようにチャロナとカイルキアは結婚したかもしれない。
もう二度と会えないかな……と思っても、今ここに彼女達との繋がりがあるとわかったもの。嬉しくないわけがない。
とりあえず、クロノ兄様にもパンをお裾分けしようとした時にフィーも来て……ちょっと嫌がっていたフィーだけど、三人でチャロナのパンを堪能したわ。
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