193-4.また新しい技能

 ロティとの抱っこが終わってから、ユリアさんはまた柔らかく微笑んだ。



「さっき、あなたが作ったガーリックフランスで……思い出したの。レイアーク……私の孫が治める世界では、多種多様なパンがあったなって」


「……私と悠花ゆうかさんの前世の世界ですか??」


「そう。俗称を地球と言うわね?」



 この虹の世界ではないらしいが、ちゃんと地球は存在しているみたい。



「……そこにあったパン。私が千里ちさとだった時に作っていたパンを……この世界でも作っています。けど……材料次第では再現が」


「そう。イースト菌や酵母は……私達が手を加えて、今の人間達が扱えるようにはしたわ。でも、完全に再現は叶わなかった」


「……そうですね。でも、それなら……今日ユリアさんが来たのは??」


「ふふ。シアをちゃんと世界の神へと導いてくれたあなたに……ご褒美。作り方がわからないレシピなどを、地球のものであれば検索出来る技能スキルよ?」


「…………え??」



 そんな凄い技能スキル、私なんかがもらっていいのだろうか??


 ちょっとびっくりしていると、ユリアさんにいきなり両手を掴まれた。



「さっき、あなたが悩んでいた……メンタイコ?? だったかしら?? あれが作れたら、パンにも扱えるのでしょう!!」


「は……はい。食べたい……んですか??」


「ええ、もちろん!! フィルドもはしゃいでたのを置いてったけど……」


「……あはは」



 どんなものか食べたことはないだろうけど……食べたい欲求は神様でも同じかな??


 けど、悠花さんの残念称号も外してくださったんだから……食べたいのであれば叶えたい。


 私だって、食べたいんだから!!



『メンタイコ〜!! メンタイコでふぅう!!』



 ロティもしっかり食べたいようだしね??



「そうですね? 単純に明太子フランスや……ポテトマヨの惣菜パン。あとお焼き風、チーズと一緒に……とか」


「すごいわ!! そんなに活用出来るのね!!」


「ただ……私の記憶でも、寄生虫対策のために……仕込みが少し面倒だった気が」


「そこは、私達が与えた異能ギフト技能スキルがあれば……なんだって出来るでしょう??」


「あははは……」



 思いっきり抱きしめられたので、柔らかい体がダイレクトに伝わってきたから……ちょっと照れた。


 離れた後に、ユリアさんは手のひらに虹色のビー玉をいきなり出したのだった。



「これが技能スキル……検索サーチと言うわ」



 受け取って、と差し出されたので……落とさないように受け取ると、冷たさとか感じないうちに溶けて消えてしまった。



「……これでいいんですか??」


「ええ。ロティにお願いしてみなさい? 抽出エクストラクションと同じように出てくるわ?」


「はい」



 ロティと向き合えば、彼女はすぐにベッドから少し浮き上がった。



『んぅうううううう!!』


「ロティ、検索サーチ!!」


『あいでふ!! んぅううううう!! 検索サーチぃいい、『メンタイコ』でふぅううう!!』



 ロティが頭上高く手を上げれば……そこから、パソコンのブラウザが開くように、幾つものページが開いて行く。


 それが私やユリアさんの目線近くまで下りてくると……色々あったが『明太子』の下ごしらえなどのレシピが記載されていた。



「おお……!!」


「こんな感じに、地球以外のレシピも作れるようになると思うわ。引き出したりするのはロティにお願いすればいいの」


『でふぅう!!』


「ありがとうございます!!」



 これで、美味しい明太フランスが作れる!!


 それを断言すれば、ユリアさんは……明太子が出来た頃合いに来るからと帰って行かれた。


 まず、エコールさんからタラコの塩漬けを入手しなきゃだから、今日明日では出来ないもの。



『メンタイコ〜!! メンタイコ〜!!』



 ロティと一緒に検索サーチで出した明太子のレシピの一部をプリントし、寝る前までふたりであーだこーだと話し合ったのだ。

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