193-3.足りない材料と……







【PTを付与します。



『濃厚ガーリックフランス』



 ・製造30人前=100000PT




 →100000PT付与されました




 レシピ集にデータ化されました!






 次のレベルまであと5674864000PT



 】





 まだ食べてもいないんだけど、ユリアさん経由のPT付与が為された。


 まだ来る目処は立っていないけど……多分、食べたいのかもしれないわ。


 ガーリックフランスと一緒に出すことにしたりんごを剥きながら、ちょっと苦笑いしてしまう。


 神様をも魅了させてしまうガーリックフランス……日本でも人気だったもの。あと、明太子とか。



(…………カイルキア様や悠花ゆうかさんに聞けば、スケトウダラとかの卵……タラコもありそう)



 明太子の仕込み……はやったことないけど、意外に日本と似ているこの世界なら……作ってるとことかありそう。


 以前のデートで、カイルキア様が海に連れてってくれるって言ってくださったから……その行き先にあるかも。


 と思っていたら、ある人のことを思い出した。


 そこで、りんごを剥く手を止めて、食堂にいるエスメラルダさんを呼んだ。軽く飲んでいたが、全然酔っ払ってなかったけど。



「タラの卵??」



 厨房に呼んでから聞くと、エスメラルダさんは軽く首を傾げた。



「はい! ガーリックフランスと同等……他のパンにも使えるんです!!」


「あんな生臭もんをかい??」


「塩漬けしたりしませんか??」


「するが……あんたは知ってんだね??」


「はい。塩漬け以外にも赤い香辛料に漬け込んで……お米以外にも、パンに使えるんですよ??」


「ふーん? んじゃ、エコールに持たせるかねぇ?? けど、塩漬けにしか出来ないよ??」


「……なんとかしてみます」



 口で言っちゃったけど、私だって明太子は食べたい。


 どうしようかなあ……って、先に出したガーリックフランスの争奪戦とかには呆気に取られちゃったけど。


 レクター先生の雷が落ちて、悠花さん達もだがカイルキア様にも正座をさせる先生は強いことが再認識された。


 消臭用のりんごを提供した後……私は、先に休ませてもらうことになり、自分の部屋で悶々としていた。どうすれば、明太子を作れるか。



「う〜〜ん……」


『でふぅ?』



 うなったところで何も出来ないのはわかっているけど……やっぱり、タラコで妥協すべきか。


 お酒は、ユリアさん達からもらったのがまだたっぷりあるんだよね??


 たしか、お酒は必要だったはず。



「お悩みのようね??」


「はい。……!!?」



 ノックも無しに誰か……と思う前に、その声に驚いた!!?


 ベッドに座っていた私とロティのすぐ横に……ユリアさんが座っていたのだ!!



「ユリア……さん??」


「ええ、そうよ??」



 ふふっと微笑む感じも、式典以来に会う彼女そのままだった。今はおばあちゃんの見た目じゃなくて、若い女性の方だ。



『ユリアネスしゃまでふぅう!!』



 ロティは嬉しいのか、彼女の腕の中にダイブして行った。



「元気そうね、ロティ?」


『でふぅ!』



 ぱっと見だと……姉妹が抱擁し合っているように見えても、ユリアさんは何千倍も生きていらっしゃる神様だ。



「どうしてここに……??」



 私がようやく口に出来た言葉に、ユリアさんは子供っぽく微笑んだ。



「……あなたの作る料理に、必要な技能スキルを授けに」



 タイミング、良過ぎやしないだろうか??


 ガーリックフランスを作った時のアナウンスで、何か勘づいたのかもしれない……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る