191-3.ホイップたっぷりショートケーキ②(サイラ視点)






 *・*・*(サイラ視点)












 チャロナが、王女様と言うのは公表されたけど……転生者だと言う真実はシャミー達にも伝えられない。


 別に言いふらす連中じゃないのはよくわかっているが……マックスさんもだけど、その真実を知ったら受け入れるかどうか。


 俺もエスメラルダさんが気づかなきゃ、知る機会もなかった。でも、チャロナはチャロナだから。


 それに、今作っているケーキは早く食べたい!!



「さ、仕上げだよ?」



 シフォンケーキよりしっかりめに焼いたケーキの土台。


 三つにほど薄く切ったのがひと組。


 それを何組か用意して、刷毛を使って水みたいなシロップをいくつか塗っていくらしい。


 味の比較をするためなんだってさ。


 塗り方は、薄く均一にらしい。



「俺やりたい!!」



 挙手したのはピデット。シロップ作りから担当していたので、自然とやりたい感じだった。チャロナが手本を見せてから、ささっと塗る方の生地に塗っていく。透明だから、ぱっと見は塗っているように見えない。


 その後の、ホイップクリームを塗る作業もやりたいと言い出したけれど。


 それは俺もシャミーもやることにはなったけどな?



「ふわふわなホイップクリームやんなあ?」



 シャミーが手がけたホイップクリームを食べたそうにしていたんで、エイ姉からダメだと軽く小突かれた。



「はーい! クリーム塗るよー?」



 チャロナとか、ピデットとかはさっさと塗れているのに……俺とシャミーはもたついた。凸凹になっちまうんだよ!?



「多少は凸凹になっていいから、ゆっくり丁寧に」


「チャロナは出来るからぁ!?」


「そんな丁寧に出来んで!!?」



 パレットナイフ……言う刃とかがないナイフで塗っても、凸凹するんだ……。エイ姉や料理長もだけど……なんでそんな簡単に出来ちゃうんだ??


 やっぱり、仕事内容の違い??


 とりあえず、急がずにクリームを塗り、いちごを切ったのを載せて、また生地を載せたのを繰り返したら……今度は全体にクリームを塗る工程を頑張って。


 で、一番上のとこにヘタだけ切り落としたいちごをこれも綺麗に載せて。


 出来上がったら、俺とかシャミーは声を上げた。



「「出来たー!?」」


「お疲れ様」



 あとは味の比較だと言うことで、チャロナが切り分けてくれた。


 やっと、食べれる!!


 チャロナが専用だと言う、まるで剣みたいな包丁を持ってきてお湯を使いながら……丁寧に切り分けて行った。



「はい、これがショートケーキよ??」



 白、赤、黄。


 それらが綺麗に切り分けられた、美しいケーキだった。

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