191-2.ホイップたっぷりショートケーキ①

 ホイップが出来たら、無限∞収納棚にボウルごと入れて……次は生地作り。


 ホイップにロティの撹拌機ミキサーを使っていたので、こっちは手作業でシェトラスさん達には材料を混ぜてもらっていた。


 ショートケーキ作りはしたことがないらしいが、さすがは料理人さんなのでシェトラスさんやエイマーさんの手際が良かった。


 レイ君はちょっともたついていたけど……準備が整ってから、銀製器具シルバーアイテムから型をどんどん出してはクッキングシートを敷き。そして、生地を流し込んでいく。



『でっふでふぅう!!』



 ロティがオーブンに変換チェンジしてから、生地の型を全部入れて……ロティの感覚で焼いてもらう。この間に、ケーキのシロップ作りだ。



「ケーキにシロップを?」


「しっとりするし、美味しいんです。ただ、均一に塗らないと生地が崩れたり、味のバランスがバラバラになります」


「「ほう!」」



 砂糖と水だけでなく、洋酒も少々。


 お酒じゃなくてもいいけど、あればバニラビーンズのとか。


 今回はシロップ有りか無しかで味の比較をしたいので、洋酒入りに決めたのだ。



『焼けたでふぅうう!!』



 ロティから声が上がったので、手分けして生地の型をオーブンから取り出し……いい匂いが厨房に充満していくが、我慢しながら今度は冷ますのに冷却の魔法をかけた。自然乾燥もいいが、冬間近の今では乾燥が怖い。


 地球でも日本でもないのに、この虹の世界って気候とかが日本と似ているのよね??



「「「ふわぁ!? いい匂い!!」」」



 さあ、デコレーション……と思ったら、サイラ君達三馬鹿トリオがカウンターでトーテムポールのように積み上がっていた。



「……ダメだよ?」


「「「なんで(なん)!!?」」」


「これで出来上がりじゃないもの」


「「「え〜〜」」」


「暇なら、お前達も手伝わないか??」


「「「うぃっすぅ……」」」



 と言うエイマーさんの提案もあり、ちょっと窮屈にもなるが三人も加わってくれたので……まずは生地を三層にわける作業から。


 私が手本を見せたら……これは、シェトラスさんとシャミー君が担当となった。サイラ君はホイップ。ピデット君はペンキ塗りが得意なことから、シロップ塗り。庭師でも大工さんのような仕事もたまにあるんだって。


 私は全部の工程のサポート。エイマーさんはいちごのカットと盛り付け。レイ君はサイラ君とホイップ。ロティは休憩させた。



「こんなにも生クリーム使うんだなー?」



 初めてなのに、手際がいい三馬鹿トリオはしっかりと作業をこなしていく。



「これ、フィーガスさん達の結婚式で使う予定のケーキだから」


「俺達が食っていいの??」


「まだ練習だし、もっと大きなの作る予定だから」


「「「でかいケーキ??」」」


「そう言うの頼まれたから」



 いくら、私が王女だと三人は知っていても、サイラ君にしか転生者の事実は話してないから、言葉を少し濁した。とりあえず、そうしておくしかないわ。

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