189-4.はじめて食べてもらう
*・*・*
多分……だけど、マシュラン達と和解出来たと思う。
泣いてくれたし、シミットはすぐに離れてくれなかった。
でも、子供達の方も忘れてはいけないから……お兄さんの言う通り、講堂に行ってマシュラン達にも私のパンを食べて欲しい。あの頃とは違う、まったく違うパンを。
「待たせたんだぞ、皆!!」
講堂に着くなり、お兄さんが子供達に声をかけると……ほとんどが大きく返事をしてくれた。テーブルには、今日のために用意したパンが載ったお皿が並んでいる。
「お待たせ致しました! 皆、どうぞ召し上がって?」
『『『『『はーい!!』』』』』
お兄さんが言ったように、私が王女だとわかっても変わらない感じで子供達は出迎えてくれた。
私のパンも、早く食べたいとうずうずしていたくらい。
なので、その期待に応えようと合図をしてあげたら……皆、簡単にお祈りをしてから食べ始めた。
『『『『美味しー!!』』』』
今日用意したのは、カレーパンにクリームパン。
カレーパンはキーマカレーにして、手製のドライトマトを忍ばせてあるから少し甘め。
クリームパンは定番のグローブ型。
これらを……マシュラン達にも食べてもらいたい。
だから、余分に作ったパンを彼らの前に差し出した。
「……いいの?」
「色々あって、美味しい作り方がわかったの。食べてみて?」
私が元メンバー達に声をかければ……ミッシュが先に手を伸ばしてくれた。その後に続くように、シミットやマシュラン達も手を伸ばしてくれる。最後に渋っていたのはメルクキス。泣いた後だけど、相変わらずちょっと怖い。
その怖さはカイルキア様と似てたけど、全然違う。
最初に食べてくれたのは……そのメルクキスだった。
「……………………柔らか!?」
ひと口で味がわかると、次のひと口は早く……。あっという間にペロリと食べ終えてしまった。
「!? あっまーい!」
シミットが次に口にしてくれて、クリームにすぐに到達したのかぱくぱくと食べてくれた。
「……甘い」
「柔らかい……美味い!?」
「これ……ほんとにパン??」
などなど、全員不思議そうな顔になりつつも美味しそうに食べてくれた。それが……すごく嬉しい!
「ありがとう。この後、子供達にも簡単なパン作りを教えるの。皆も是非参加して?」
私がそう提案すれば、全員首を縦に振ってくれたわ。
「王女様!? 今日はパンが作れるんですか!?」
食べ終わった子供達の中で、ケイミーちゃんが声をかけてきた。それに続いて、他の皆もわらわらとやってきた。
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