185-4.まんじゅう作りへ②
ミンチにした豚ひき肉、みじん切りした玉ねぎ。
代用出来るのも含めて、調味料を入れて混ぜてこねて……お兄さん達の方も出来上がったら全員で生地を伸ばす工程。
私が見本を見せてから……料理に手慣れている人もそうでない人も難しい顔になっちゃった。陛下方は、ちょっと凸凹になっていたのでも私がお手伝いしながらなんとか伸ばせた。
「胡麻餡は丸く、底で閉じて。お肉の方は肉汁が溢れやすいので生地の閉じ口は上にします」
「王女殿、この味付けだけでは薄いように思うが」
「大丈夫です、殿下。召し上がっていただく時にまたお教えしますね?」
「秘密と言うことか、面白い」
アシュリン殿下のにっと笑う表情が、リンお兄ちゃんとは違うなと思った。シュラお兄さんとは喧嘩仲間? ぽいから好戦的なのかも。
それぞれの包み方を教え、全員で黙々と包んでいく。……カイルキア様はあんまんとかが慣れていくと、お兄さんと一緒にひょいひょいと包んでいかれた。パンケーキの時も思ったけど、元冒険者だからか手際がいい。
「では、蒸していきます」
ベンチタイムを置きすぎると、蒸す時にしぼんじゃう可能性もあるので、蒸さない以外のお饅頭は私の収納棚に入れておく。
まずは、多少時間のかかる肉まんから。
蒸し器については、ホムラに多い蒸籠と中華鍋で蒸していく。
中華鍋にお湯、蒸し器に蒸し布を濡らしたのを敷いて。あと、念のためにホムラにもあったクッキングシートを切り分けて肉まんの底に。これらで、いつものタイマーは使わずに時計を見て蒸していくのだ。
今日はなんたって、ご指導させていただく日なのだから。
「いい匂いだね……」
「ええ、父上」
小麦の匂いに混じって匂ってくるお肉と玉ねぎの甘い匂いが、堪らないのだろう。
出来上がったら、少し大きくなっていた肉まん。これで完成なので、試食タイム!
包丁で切り分けて、お醤油とお酢のタレを小皿に。
「こちらのタレを少量つけて食べてください。もちろん、そのままでも構いません」
「「では……」」
陛下と殿下は、出来立ての肉まんをあちあち持ちながら……まずは、そのまま口に入れてくださった。
「「あっふ!!?」」
余程熱いからか、あふあふと口を動かしていたけれど……少しして飲み込み、それぞれのほっぺがピンク色になった。
「「美味い!!」」
「皮もむせない。……少し甘くて、中の肉と玉ねぎの相性もいいよ」
「薄味のイメージが払拭されました! これは……タレだと」
「軽くつけてください」
と、私が説明した後におふたりが実践すると……またほっぺがピンクに染まった。
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