177-3.とろっとピザまん②

 包む要領は、だいたい肉まんと同じ。


 具材は中央に餡部分を平たく載せ、そこにシュレッドしておいたチーズを気持ち多めに載せる。あとは、ヒダを作るように頑張って成形。


 半分以上は私がパパッと作って、あとはロティもだけど皆さんに頑張ってもらう。閉じ目をキュッと絞ったら、蒸す前のピザまんの完成。


 これを切り分けたクッキングシートに乗せ、何もかけずに二次発酵。こうすると、濡れ布巾とかでヒダが消えずに綺麗に乾燥するから。



「……こう見ると、圧巻だねえ?」



 シェトラスさんが言うように、調理台全部にピザまんが乗るのは圧巻されるようだった。



「ここも、今日は時間短縮クイックを使います!」



 最大短縮を使って、あっという間に乾燥したピザまんの出来上がり。これを、銀製器具シルバーアイテムから蒸し器に魔石コンロを取り出して順番に蒸して行く。


 蒸す時間は十分、蒸らしは二分。


 出来上がったら、ちょうどサイラ君含める三馬鹿トリオのお出ましだ。



「むっちゃええ匂い!?」


「甘い?? いや、なんか嗅いだことある!?」


「チャロナ、チャロナ!? 今日のおやつはなんなんだ!?」


「以前の肉まんみたいに、今日はピザまんだよ?」


「「ピザまん??」」


「ピザをまんじゅう??」



 なので、カイルキア様や悠花ゆうかさん達の分は無限∞収納棚に入れて、出来立てを三人に出してあげた。ちょうどひとりのつき二個。



「こう言うのだよ??」


「「「赤い!?」」」


「パプリカのエキスを水代わりにしたの。肉まんと見分けがつくように」


「「「ほー??」」」


「熱いから気をつけてね? 中にはピザで使う具材がたくさんあるから」



 と言うと、サイラ君は苦笑いした。



「これ、エピアが超喜びそうじゃね??」


「そうだね? 私の気分で作っちゃったけど」



 チーズ女王? 様のお眼鏡にかなうのであれば幸い。


 昨日のペポロンとコーンのベーグルも、クリームチーズをたっぷり挟んだらすごく喜んでくれたから。



「チーズのいい匂い!!」



 とかなんとか言ってたら、その張本人のお出ましだ。



「お疲れ様。今日はピザまん作ってみたの」


「ピザ……まん?」


「前に作った、肉まんの具材がピザっぽい感じだよ」


「あ!?」



 なるほど、とエピアちゃんは手を叩いてくれた。すぐにお皿に出してあげると、彼女はキラキラとした笑顔になったわ。



「まぶい……!」


「キラッキラだなあ?」


「俺といる時もあそこまでなんねーよ……」


「「「……チーズ女王」」」


「冷めちゃうとチーズの塩気強くなるから、早く食べてね??」


「「「「はーい!」」」」



 そして、ほかの使用人さん達が来出した後。彼らのテーブルから『美味しい!!』の声が上がった。

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