177-2.とろっとピザまん①

 メインの具材を作るのには、少々慣れないといけないので……下ごしらえのカットから。


 玉ねぎとニンニクはみじん切り。豚肉……オーク肉でもいいけど、肉を細かく切ったら片栗粉をまぶしておく。【枯渇の悪食】の影響はあったのに、ベーキングパウダーもだけど重曹や片栗粉もあったんだよね? 呼び名も同じだから不思議だ。



「オリーブ油でニンニク、玉ねぎの順に炒めて……次にお肉を入れて炒めます」


「先に焼いてしまうんだね??」


「肉まんと違って、具沢山なのと。水分の多い餡なので……蒸しすぎると中身が出てきて大変なことになるんです」


「『「なるほど」』」



 火が通ったら、湯むきしてカットしたトマト。コンソメにケチャップと塩胡椒。これらを加えて、さらに水気が飛ぶまで煮詰めていく。ここでしっかり水気を飛ばさないと包む時も大変だからだ。


 出来上がったら、乾燥させておいたパセリを散らしておく。私とロティの技能スキルで生パセリを乾燥させるのも、結構簡単に出来た。パセリ特有の強い香りが穏やかになるから、これはバジルでも出来るかもしれない。


 ただ、普通の生活魔法で出来なくもないので、ラスティさんやエピアちゃん達には伝達済みだ。


 これは今回自然に冷ましておくので、その間に生地作り。



「まず、赤パプリカを小さく切って……水少量と一緒にペーストにします。ロティ?」


『にゅ! 変換チェンジぃいいいい!!』



 ロティのミキサーで、ペーストにさせていく。これをこのまま使うのではなく、銀製器具シルバーアイテムから目の細かいザルで『こし汁』を作る。ペーストの方は、ロティが食べてくれることになった。もう使わないし、何かに混ぜるにも中途半端だから。けど、量が多いのでレイ君も食べてくれていたわ。



「このジュースのようなものを使うのかい??」


「色付けの意味で。粉末の赤パプリカがあればいいんですが、ないので手製です。水分もこれで決めますよ」



 生地は粉類に加えて、このこし汁を加えて撹拌。さらに、発酵させていく。ベンチタイムは短くていいので、発酵が終わったら、気泡を潰す勢いで手でこねてから分割。


 軽く濡れ布巾にかけて、ベンチタイム。


 その後に、成形。



「チャロナくん、打ち粉は?」



 私がいきなり成形しようとした時に、エイマーさんが声をかけてきた。



「まだです。包む前の段階で伸ばす分には問題ありません。水ではなく、こし汁を入れて練ったので伸ばしやすいですよ?」



 軽く手で丸め直して、潰して円形に。そこからだいたい直径11cmくらいの円形に伸ばすが中央は厚めに。


 この後、軽く打ち粉を表面に振るのだ。


 エイマーさん達に生地を触ってもらうと、『へー!?』と声が上がった。



「ぷにぷにしていて……」


「実に触り心地が良い! まるで赤子の頬のようだ」


『ちょっと甘い香りもするでやんす』


『でふ!』



 普通のパン生地もだけど、中華まんの皮ってちょっと独特だから。


 孤児院の皆、お菓子教室には胡麻団子にしようかしら?? 餡子だけはこっちが持参すれば、時間が短縮出来ると思うわ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る